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感応


友人が時々、「母の宅急便」を送ってくれる。 母のいないわたしのために。 うめぼし、のり、ひじき、マルタイラーメン、ふりかけ・・・。 どれもこれも、ニースでは超高級品。 こどもの漢字ドリル、なんてものも入っている。 これは入手不可能。 これらが届くことはすごくうれしい。

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でも、一番うれしいのは、これ。 本。 友人は読み終わった本を、気前よく、がんがん詰めて送ってくれるのだ。

大学生の時、詩人の谷川俊太郎の本に出会って、

「ああ、わたしはもう、詩人にはなれないなあ。」

と思った。 彼の詩には、わたしが言いたいことがすべて書いてある。 まるでわたしの心の中をのぞかれたみたいだった。 その詩を、書くことはできない。 だけど、読んだ途端、ああ、これだよ! わたしが言いたかったのは! とひざをたたく思いがする。
宮本輝を読むと、同じことを思う。

「ああ、わたしはもう、作家にはなれないなあ」。

宮本輝はわたしが言いたかったことを、もっと上手に、もっと感動的に、もっとわかりやすく、書いてくれる。 

「あれぇ、それ、それをね、言いたかったんですよー え、えぇー 言われちゃったなあー まいったなあー しかしうますぎるよー やられたなぁ。」

宮本輝を読むと、それの連続だ。 どの本も大好き。 この「命の器」というエッセー集の中に、「“感応”ということ」という、ほんの一ページほどの文章がある。 わたしはこの、「感応」、ということばが、大好きだ。 いま一度読み返してみたら、それは「仏法用語」であるという。 むむむむむ、そ、そうか。 そうだったのか。 これは、なんだか、ますますいい感じだなあ。

感応すること、あるでしょう? あ、この人とは合いそうだな。 親しくなる前になんとなくわかってしまう時。 歩いていて、なんとなく目が合い、挨拶してしまう時。 なーんとなくいい感じがするんだけどなー、ていうその気持ちに、ちゃーんと、名前が、あったのだよ。 感応。 って。

この人はねー、祈っている、としか思えないんだけど、いかがなもんでしょうか。 誰か教えてください。
by kyotachan | 2007-03-26 21:43 | た の し い | Comments(9)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族