essor エッソー/ 飛躍

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たいせつなものは目では見えない。
とか、
世界は見えるものだけでできているんじゃないんだ。
とか。

星の王子さまでなくても、そんなフレーズはよく耳にするし、いやほんと、そうだそうだ、そうだよねとその度に思う。

わたしは目で見えないものを信じたい。

わたしには数年前の三女のように跳躍する力も勇気もないと思うでしょ。
だけどね、その力も勇気も目に見えないのよ。

その力とか勇気を出すか出さないかは、わたしが決めるのでしょ。
明日、はもう来年だ!出したいなー。出そう。出すぞ。

目に見えない力とか勇気とかを!











ひとりよがりのつぶやきだらけのお役立ち情報ゼロのこんな場所に
今年もたくさん寄ってくださってどうもありがとうございました。

来年もわたしの大好きなこの場所で会いましょう。ね!

いい年の暮れと、ますますいい新年を!















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by kyotachan | 2017-12-31 23:56 | 日 常 空 間 | Comments(0)

athée アテ/ 無神論者

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次女がコレージュ時代から仲良くしている友人ローズ。
リセは別々になってしまったけれど、今でもときどき会っている。

わたしは直接会ったことはないのだが、ふたりの遊びはもっぱら写真。
色んなところに出かけては二人で(自分たちの!)写真を撮っている。
というわけで、顔だけは写真でいやというほど拝見したことのある子だ。

次女と背丈は同じくらい。
次女よりもほんの少しぽっちゃりタイプ。
そしてにきびで悩む次女よりもさらににきびが多い。

ふたり並ぶと仲良しなのが一目瞭然。
もっている雰囲気が似ているのだ。










クリスマスが終わって、次女が今日はローズと会ってきたという。

「ローズは元気だった?クリスマスはとどこおりなく終わったって?」

子どもたちが友人たちと出かけた日には、なんとなく友人たちの様子を尋ねてみる、普通の会話だ。
そして次女の答えにわたしは心底、びっくりしてしまった。

Il n'y a pas de noël chez elle イルニアパドゥノエルシェゼッル/ あの子ん家にはノエルはないんだよ。

次女はそう言ったのだ。
 
ど ゆ こ と ???

わたしの育った家と同じってこと?
思わず聞いたのが、

「ユダヤ人なの?」

答えはノー。
わたしの周りのユダヤ人は、詳細な事柄はまったく知らないが、みなさん普通にクリスマスを祝っておられる。
だけど敬虔なユダヤ人はなんとなくお祝いしないようなイメージがあるのだよね。

「苗字は?」

グレゴワー。
こちらもイスラム系の名前とかではなく、一般的なフランス人らしい名前。
じゃあ一体、どういうわけでクリスマスをしないっつーの?

理由が知りたい理由が。

Ils sont athées イルソンアテ/ 無視論者だよ。

次女は涼しい顔をしてそういうが、いや、アテはアテでもクリスマスはクリスマスとしてさあ!

納得いかないわたしに今度は次女が、「じゃあ、ウチは仏教徒なんでしょう?なんでクリスマスするの?」ときた。

「それはクリスマスを宗教的な行事だと思ってないから。クリスマスは文化的な行事なの」。

そこで会話は終わってしまったのだが、わたしはやっぱり気になってしょうがない。
どういう理由で、というか、今のこの時代にフランスでクリスマスをしない、
というのはかなり強烈な決意というか決心というか信条というかポリシーというか、そんなものが必要ではない?

なんとなーく、やめとこっか、そうしよっか、て、そんな簡単な気持ちじゃあ、絶対にない。ないはず!

それに、そう決めたのは誰なの?
ローズのお父さん?それともお母さん?

お父さんの家にもクリスマスはなかったの?
それとも本人がそうしようと決めたの?

両親ともども、クリスマスのない家庭で育ったってこと?

ふたりが結婚をしたとき、そのヘンの葛藤というかいざこざというか、そんなものはなかったの?
親戚におよばれしたときにはどう対応するの?

今後、ローズが結婚したあとはどうするの?

うわーん、気になるーーー!!!
何もかもが、ものすごーく気になるーーー!!!

フランス人にとって、クリスマスは年間第一位に大切な行事、
そう信じ込んでいたわたしにとって、
クリスマスをしない家庭があることを知ったのは、そうとう衝撃的な出来事ではあった。

「で?ローズはぐちとかこぼさないの?クリスマスがないことに?」
「別に」。

これは、すばらしいと思うがどうか!
感動してしまうのだが、どうか!

















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by kyotachan | 2017-12-29 02:23 | 文 化 教 育 | Comments(2)

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クリスマスが過ぎたあとのあいさつといえばもちろん。
「クリスマス、どうだった?」。

子どものいる人に対しては
「サンタさんは来たの?」。

あいさつなのだから、さらりと答える。

「おいしいものを食べ過ぎちゃって」とか
「サンタさんは来ましたよもちろん」など。

九十一歳のマダム(ちょうど誕生日の話をしているところに通りかかってたまたま年齢を知ってしまった)が、
クリスマスがどうだったかを聞かれて

Je suis bien gâtée cette année! ジュスィビヤンガテセタネ/ 今年は運がよかったわ!

と答えていた。

gâté, e ガテ といえば enfant gâté アンファンガテ/ 甘やかされた子ども、
が浮かぶけれども、
日常会話の中では圧倒的に自分に対して使うことが多い。

運がよかった、という日本語をつけたけれどもほんとうは
「わたしは今年は甘やかされたのよ~」というのが近いのかしら。

大勢の子どもと孫たちに甘やかされている九十一歳のマダム。すてきだ!

よく見ると、見慣れない黒い帽子に、あったかそうなベストを着ている。
これももしかしたらプレゼントにもらったのかもしれない。

しあわせな風景。

















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by kyotachan | 2017-12-28 02:33 | た の し い | Comments(0)

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昨日の夜から降り出した雨。
今朝になっても降りやまず、午後からは雨足が強くなった。

十一月から十二月のクリスマス辺りまでは雨なことも多いのだが、今年は晴れの天気が続いた。

雨よりも晴れているほうが気分的には楽だ。

ただ、どこかで読んだ一節、
「雨が降ると『天気が悪い』というのはおかしい。ただ、雨が降っている天気というだけのこと」
という一文(うろ覚え)が、頭のどこかにひっかかって妙に納得させられしまった。

雨だからって悪いことは何もない。
雨が降るのは、特に雨量の少ないこの辺りでは、ありがたいことなのだ。

足先が冷えるたちで、だから雨の日には雨靴が欠かせない。
数年前にひざ下までもある雨靴を買ってからは雨の日の外出ががぜん、気楽になった。
靴底にはぽわぽわの温かいソールを入れて快適快適。

普通の靴をはいているときには気がつかなかったことなのだが、
雨靴をはいていると、ひざの辺りまで水しぶきがかかってくるのがよくわかるようになった。
ビニールだと雨粒がよく見えるのだ。

そうなると、上着とひざまでの部分、つまり太ももの部分がぬれてしまうのが気になってくる。
丈の長い上着を着ればいいのだが、あいにく雨の日に着たくなる上着を持ち合わせていない。

雨しぶきを受ける太ももを見つつ、こりゃあ次は漁師用のつなぎでも買うしかないな、とひとりで笑った。

















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by kyotachan | 2017-12-27 03:00 | 喜 怒 哀 楽 | Comments(0)




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クリスマスの準備は去年あたりからこちら、
ほとんどが長女の手に任せきりになっている。

もみの木の調達も率先してやるし、もちろん飾りつけも。
イヴの夜、気がついたらいつの間にかその木の足元にプレゼントが並んでいた。

彼女のボーイフレンドの家では
こちらの家庭のオーソドックスな感じに、
みながお互いにプレゼントを贈りあうのだという。

彼の家も四人きょうだい、上三人にはもう相手がいて、
その人の分まで用意するらしい。ま、まじですか!

そんな彼のお買い物に付き合っていると、
そんな経験のない長女は同じようにしたくなってしまうのかもね。

というわけで今年も、テーブルセッティングからなにからなにまで長女にお任せ。







ただ料理だけは別。

去年はわたしの時間がとれなかったこともあって、
夫と長女がお惣菜やさんで何やかやと買ってきてくれたのだったが、
これがもう、申し訳ないほどに、あ、逆か、腹の立つほどに、まずかった。

定番のブッシュ・ア・ラ・レンヌ(パイ生地にクリームシチューをつめたもの)
大きなホタテ貝にこれまたクリーム系の乗っかったもの、
伊勢えび、みたいなおおきなえびをゆでてマヨネーズを乗っけたもの、

いや、楽をさせてもらってこんなこと言うのはなんなんですけどね、
ほんとに、情けなくて泣きたくなるくらいのまずさ。

今年はもう、こんなものぜーったいに食べないもんね。
……、て、つまりはわたしが作るしかないわけなのだけど。












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マグロは Picard ピカーのものがいちばん使いやすい。
品質が一定しているし、柵になっていて、切るとちょうど握りの大きさ。

サーモンは Carrefour カルフールの真空パックで売っているもの。
少し凍らせた状態で切るとうまくいく。









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ディナー開始から十分くらいで、
寿司がほとんどはけてしまった。

なによなによ、歓談しながら優雅にたべてちょうだいよ~と笑ったくらい。
酢飯がおいしかったし、魚もおいしかった。
いやあ、やっぱり自分で作るごはんがいちばんおいしい。










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焼鳥は初挑戦だったのだけど、思いがけず大好評。
なによなによ、焼鳥、好きなの?

小さく切って串に刺すのが面倒だけど、
あとはオーブンで十五分もあれば焼けてしまう。










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茶碗蒸し。
大きな蒸し器がないので電子レンジで。










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クリスマスだから子どもたちも気をつかっているらしく、
食事が終わってもテーブルから離れない。

長女が言い出して、トランプをした。
プレジデントを一回。
ババ抜きを一回。

そしてなんと、パントマイム。

ひとりにつき、四問のお題を紙に書く。
それを引いて、パントマイムをし、当てあうのだ。

「ママ」というのが三つもあった。

子どもたちがどんなジェスチャーでわたしを表現したか。
それはとても言えません。










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長男のプレゼントはどうなったか。
それはまた別の機会に。


















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PS さやかちゃんへ。
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by kyotachan | 2017-12-25 22:29 | 六 人 家 族 | Comments(8)

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毎週水曜日は長女と次女がダンス教室で帰りが遅くて
そして夫の帰りも遅いことが多い。

食事の時間にはだからわたしと長男と三女の三人だけ、なことが多くなる。

そんな水曜日の夜の食事中に長男がぽつりと言った。
「クリスマスのプレゼント、ボクは何にもほしくない。かわりに、シャルロットに会いに行きたい」。

シャルロットは長男がコレージュに通っていたとき、一年間だけクラスメートだった子。
何度か、下校時間に見かけたことがあるのだけど、まっすぐの髪の毛がみごとなブロンドで肌もまーっ白のかわいい子だ。

両親が Lille リル 出身の人たちらしく、今はそちらに引っ越してしまった。

Lille リル といえばフランス最北端の街。

シャルロットにはバカンスのたびにコレージュのクラスメートだった子のところに一週間、二週間と滞在することがあるらしい。

そんなときには長男はまめに出かけてはシャルロットに会っている。

ただ、長男が言うには、

Je sors avec Charlotte, mais je sors pas avec elle.
「シャルロットと出かけることはあるけど、付き合っているわけではない」。

それでもスペインに旅行中に
「シャルロットにメールしたけど返信がない」
とさみしそうに言ったりするところを見ると、友情以上の感情があるようにも思える。

母の胸は、きゅーん、としてしまう。

わたしの時代には、というか、わたしの育った家では、この手の話題はタブーだった。
わたしは好きな子の話を両親にしたことはないし、両親も「どうなのよ、そこのところは」と聞いてくることはなかった。

ただ、バレンタインデーに粉まみれになりながらシュークリームを焼く、という経験をしたことはある。
昭和ひとけた生まれの親だって、それがどういうことなのかは察しがついていたはず。

そんな時でも母親は「誰にあげるの」とは聞いてこなかったし、
わたしも自分から「これはねえ、ダレダレくんにあげるとよ~」
と言ったこともなかった。

母親は粉だらけの台所に入ってきて、
「あら。シュークリーム?じゃあさ、お父さんにも作ってよ。お父さん、シュークリーム、好いとうしゃーけん」
と言ったりした。

自分自身が五十歳を過ぎて思うのは、
十代のころの、ひとりの人を思って胸がきゅーん!としめつけられた気持ちとか、
もう好きで好きで相手が死んでしまったらどうしよう!と思って泣いちゃうような気持ちって、
割と覚えているのだなあということ。

ということは、わたしが十代のころ、そんなわたしを見て、
当時の親は、昔の自分を思い出したりしていたかもしれない。

十代の頃は親とそんな気持ちを共有するなんて、思いつきもしなかった。
わたしはもっと、親と、色んなことを話せばよかったのかもしれない。










その夜、わたしは即座に長男の考えに賛成した。
「いいねえいいねえ、それはいいねえ」。

「シャルロットのご両親はキミが来ることに賛成なの?」
「ウン……」。

「じゃあ、パパには成績表と Lettre de motivation (履歴書に添付する動機理由を述べた書類)とリルへの交通費等々、ばしっと書類にして提出するように」

わたしはそう長男をはげまし、三女とも笑いあって食事を終えたのだけど、
問題は長男は学校の勉強にまるで熱心ではなく、成績表の結果にまるで無頓着なことだった。

父親はそれに熱心でなくはいられないし、無頓着になることもできないのだ。
ばかだねー長男。楽してほしいものだけ手に入れようとしてるだろ。

さてこのお話、どういう結末を迎えますやら。



















写真はこれまた五年前のクリスマス風景。
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この彼がプレゼントはいらない、という時が来るとは!








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by kyotachan | 2017-12-23 05:13 | Comments(2)

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夏休みの記事を十二月までひっぱってしまったせいか
今週末がもうクリスマスだということに軽くショックを受けている。

周りを見回せば確かに、もみの木を抱えているパパと子どもたちの姿を何組も見たし、
ここのところ、買い物袋を両手にぶら下げている人たちは街中にあふれている。

今年も、もう終わりですか!

こころの中で自分につっこみ、そうなんですよねえ、終わりなんですよねえと答えてみる。

今年のいちばんの出来事は姪っ子(次兄の次女)のさやかちゃんが結婚したことかな。

遠い存在だし、わたしのことなんて覚えてもいないはずだけど、

あの、さやかちゃんが結婚ですか!

という驚きはけっこうなヨロコビを運んできてくれた。








結婚して離婚して再婚する、ことが普通なフランスでは
クリスマスのお祝いも単純にはいかない。

おそらくは今夜、木曜日あたりからあここちでクリスマスのお祝いがされているはず。
そしてそれは金、土、日、月、あたりまで続くのだ……。

メリー・クリスマス!
ハロー・クルシミマス!















写真は五年前のクリスマスのテーブル風景。
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五年前の子どもたちがあまりにも小さくてきゅんとする。








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by kyotachan | 2017-12-22 01:40 | Comments(0)

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肉屋・お惣菜屋の隣に、












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パン屋さん。

これは……!なんか、おいしそうなものがありそう!

鼻はきく方で、おいしいお店には、引きつけられるほうだと自負しているところがある。

むかーしむかーし、わたしと夫がまだ恋人同士だったころ、
ふたりで鎌倉に遊びに行った。いわゆる、デート。

夕方、日も暮れたことだし、この辺りで何か食べてから帰ろうということになった。
ふたりでぶらぶらと歩いていたら、裏通り、というか、
もう、裏のそのまたほそーい通りに、ぽつりと、赤ちょうちんが見えた。

近づいてみると、小さな木の引き戸がついている。
うわ、ここはうまいものがあるな、と一瞬にして思った。

「ココにしよ」
わたしが言うと、夫、当時はボーイフレンドだった、が、
めちゃくちゃびっくりした。

「え、ええっ!コ、ココッ???」

その反応で、よく店構えを眺めてみたら、
確かに赤ちょうちんはなんだか今にもやぶれそうだし、
ついている戸も、なんだかやたらめったら小さいし、
江戸時代から建っている、と言われても納得できそうに古い家ではあった。

「あれ?ココ、いやだ?おいしいと思うんだけど」

ココがいやならどうしようかなあと思いつつそう言うと、

「え、ココが?おいしいの?なんで?知ってるお店?」ときた。
「いや知らないけどさあ、おいしいと思うよココは」。

わたしの自信に満ちた態度に夫、当時はボーイフレンドだった、が、
意をけしたように言った。

「いいよ。じゃあ、ココにしよう」。

あら。勇気、ふししぼったわねえ。
あんがいあっさり折れてくれた。

わたしは静かに引き戸を開けた。

土間だ!

土間の向こうには木のカウンター。その向こうには男性がふたり。
親子だったか、店主と店員さんだったか。

カウンターのいくつかはもう埋まってしまっている。

「ふたり、なんですが、いいですか?」

わたしはわざと連れはガイジンなことを宣言するべく、身を引いて夫、当時はボーイフレンド、の姿を店主にさらした。

実は断られるかもしれないという覚悟はしていた。
東京の居酒屋でもガイジンの夫、当時はボーイフレンドだった、を見て、断られる、という経験をしていたからだ。

「どうぞ~」

若い方の男性がすぐにわたしたちを招きいれてくれてわたしたちはカウンターに着いた。

かれこれ二十年以上も前の話で、何を飲んで、何を食べたのか、
すーっかり失念してしまっているのだが、ひとつだけ、覚えているのがある。
メニューは木の札に書いて、壁に立てかけてあった。その中のひとつに、

「みそ」

とある。ガイジンの夫、当時はボーイフレンド、にしてみたら、みそと言えばみそ汁に決まっている風だった。
わたしは「これはたぶん、小皿にみそがちょこんと盛ってあって、それをなめて日本酒をぐいっとやってくれってことだな」と思った。

メニューの数はそんなに多くはなかったから、わたしは端から順番に頼んでいこうと決めて、みそを、ふたり分、と注文した。

夫、当時はボーイフレンド、はあわてて、「え、みそ汁?ボクのも?そうなの?」と隣でほざいている。
「いいからいいから」とわたし。

そしてみそが、竹の棒の先にちょこんと乗せられて、出てきた。
その棒を「はい」、と手渡しされる。

鉄砲玉を食らったような顔をする夫。当時はボーイフレンド。

わたしはと言えば「おおっ!小皿じゃあなかったよ、竹の棒と来たよ!」
と、そのおしゃれなみその登場に小躍りさえしたいほど気持ちが高揚していた。

みそに限らず、どんな品も期待を裏切るほどの演出方法で色んなおいしいものが出てきた。

そして調子に乗ってしまって、壁にかかっていた、そんなに品数の多くないメニューを
わたしたちは、はしからはしまで全部注文したのではなかったかと思う。

今こうして思い返せば、あのお店はちょこっと飲む場所で、
つまみをひとつ、熱燗を一本、ささっと飲んで食べて去って行くためのお店だったのかもしれないと思えてくる。

それを思えばわたしたちは何とはしたない、下品な客だっただろう。

そんなわたしたちを、お店のふたりの男性たちは、
楽しむようにして、最大限にもてなしてくれた。

ひやー!その節はほんとうにありがとうございました!

わたしたちはお腹いっぱいに食べ、そして存分に飲んだ。

鎌倉、を思うとき、大仏さまや海の色は記憶のおく~の方にうっすらと残っているだけで、
この小さな赤ちょうちんのお店だけがわたしの鎌倉のいちばんの思い出になっている。



















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今日はニースへ帰るよ、という日のお昼時。

高速に乗ってしまうとまずいサンドイッチしかない。
今、食べておこうよ、ということになった。












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よしよし、けっこうぜいたくなサンドイッチができそうだ。










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わたしたちは思い思いにサンドイッチを注文した。
店主であるらしいマダムは具になるものを両手に抱えて奥へと引っ込んだ。
中のキッチンで今から作るらしい。

同じようにするつもりの観光客らしいカップルが壁にもたれて順番を待っている。
お店のマダムもお客さんたちもおしなべてリラックス。
わーこの店好きだー。













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わたしはパテときゅうりのサラダをサンド。











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salade paysane サラッド・ペイザンヌ/ 田舎風サラダ。
ラードン(細切れベーコン)が入ると「田舎風」とつくみたい。














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高速に乗ってすぐ、けっきょくここでも甘いものを食べる。
子どもたちの食欲ときたら!











今年の夏休みを、どうしてもブログに残しておきたくて、
そしてそれはとても時間のかかる作業になってしまった。

気持ちがブログに向かわなかったから、
という理由からなのだけど、

途中からなんでわたしはここまでして夏休みのことを残しておこうとしているわけ?
と自問することになった。

きりんおじさんの空気をここに残しておきたい、という思いがひとつ、
そして六人で家族旅行をする機会は今後どんどん減っていくのだろうなあ
そう予感しているからなのだなと気がついた。

子どもたちが成長し、わたしたち両親が老いる、という図式はほしくない。
子どもたちが成長し、わたしたち両親もまた成長し続ける。
という人生を送る。ぞ。


















ここのところ、怠け癖がついているので、自分に活を入れるべく書いてみた。
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もっとブログを書こう。書きます。書くぞ。


夏休みの記事はこれで終了!






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by kyotachan | 2017-12-20 04:05 | vacances d'ete 2017 | Comments(2)

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翌日の八月二十五日は長男の十七歳の誕生日だった。

夫はこの日を Futuroscope フュチュロスコップ で祝うことを提案し、
わたしたちは即行で「イエス!」と答えた。

Futuroscope とはわたしの知る限りフランス最大のテーマパークで
数年前に次女が修学旅行で行ってからこちら、わたしも一度は行ってみたいと思っていたところなのだ。

最初に入ったのはマジック・ショー。

スマホでおもしろい顔の写真を撮って送ると
マジックのお手伝いができる、というサービスからはじまる。

選ばれたのは、三十歳くらいに見える青年だった。
自己申告では「八歳」とある。

マジックショーのムッシューが、「なになに、八歳?……にしてはちょっとでかいな」などと言いながらその青年を舞台に上げる。

そして彼の妹も選ばれて舞台に。

ほかにも数人、こちらはほんとうに八歳から十歳くらいの子どもたちが選ばれた。

このマジックが、そりゃあもう、ほんとうにお腹を抱えて笑えるほどに楽しい。
最初に選ばれた青年が周りのことが目に入らないタイプらしく、
急に走り出した滑車を停めようとしてGパンの股が裂けるし、
どんちょうが下りると、彼だけがどんちょうの外に置き去りにされている。

こちらは全くの素人だと思っているから大笑いをするのだけど、
最後の最後になって、「いやこれはちょっとできすぎなのでは?」と。

子どもたちも、「あの人はサクラだ」と疑っていたらしい。
そうかあ。
そうだね。でもそうだとしたら、なかなかいい役者さんだった。








それからそれからわたしが楽しみにしていたのが、
映画の4D!
Arthure et les Minimoys という映画をわたしたちはコルシカ島で見た。
子ども向けのその映画はなぜかわたしの中でいい思い出として残っている。

その Arthure アーチューの世界に入り込めるなんて!

わたしたちはアーチューと一緒にてんとう虫の車に乗り込んだ。
その車は前後・左右に激しく動き、わたしたちを容赦なく揺さぶる。
スピードが出ると、顔に風が吹きつける。
足に何かが当たることもある。
なに、この、臨場感は!

わたしは興奮して「ぎゃーぎゃー」と叫び、
後で聞いたところによれば、長男がこれまた低い声で「おーおー」と叫んでいたらしい。

アトラクションに並ぶときに、家族写真を撮るサービスがある。
終わってから、出口で写真を購入できるよくあるシステムだ。

申し訳ないが一度も利用したことのないこのサービス、
今回ははじめて、写真まで買ってしまった。
六人が六人ともヘンな顔で笑ってしまう。

だって、撮るときに「アーチューって言って下さい!」と言われるのだ。









わたしたちはこの4Dを使ったアトラクションにしぼって回れるだけまわった。
気球に乗って世界を旅した。
結婚式に遅れそうな花婿と一緒にカーチェースを楽しんだ。









広い敷地内には芝生が敷きつめてあって、
寝転ぶのにちょうどいい、大き目のクッションがところどころに設置してある。

本格的に寝ている人も多い。
この日は暑すぎず、ごろんと寝てしまうにはいい気候だったのだ。

一度、ホテルに戻って夕食をとったあと、再度出直してスペクタクルまで見た。
花火つきの豪華なスペクタクル。
くたくたにはなったけれど、夏休み最後の一日にはふさわしい日だった。

長男よ、十七歳、おめでとう!



















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by kyotachan | 2017-12-19 00:57 | vacances d'ete 2017 | Comments(0)

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午後、お散歩に出た。

長男と三女は来ず。
このふたりはよく似たところがあって、
長女と次女も似ているところがある。

なんとなくてくてく歩いていたら、さっき寄ったきのこ屋さんまで来てしまった。
だったらこのまま前に歩いて行けば、ぐるりと回ってキリンおじさんの家にでるのでは?
そう言うわたしを鼻で笑う夫。

そうしたければ、そうしたら?
ボクは来た道を戻るよ。

方向感覚は母のお腹の中に置いてきたらしいわたしは
素直に夫にしたがって来た道を戻ることにした。

けっこう暑くて汗をかいた午後。


















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by kyotachan | 2017-12-12 02:41 | vacances d'ete 2017 | Comments(0)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族