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カテゴリ:なげーやつ( 102 )

未来にふく風 <35>







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THE BOOM
作 宮沢和史

大きな帆を立ててあなたの手を引いて
荒れ狂う波にもまれ今すぐ風になりたい

天国じゃなくても楽園じゃなくても
あなたに会えたしあわせ感じて風になりたい

なにひとついいことなかったこの町に
沈みゆく太陽追いこしてみたい

生まれてきたことをしあわせに感じる
かっこ悪くたっていいあなたと風になりたい

なにひとついいことなかったこの町に
涙ふらす雲をつきぬけてみたい

天国じゃなくても楽園じゃなくても
あなたの手のぬくもりを感じて風になりたい

天国じゃなくても楽園じゃなくても
あなたに会えたしあわせ感じて風になりたい

























風のはなしはこれでもうほんとうに終わり。いったん終わり。
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by kyotachan | 2019-04-26 15:24 | なげーやつ | Comments(14)

未来にふく風 <34>

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< おわりに >

風の病気が発覚して約半年。

ごう慢にならず、卑下をせず、ただただ起こったことをそのまま
思ったことをそのまま、思っていることを正確に書いてみよう。

その思いでここまで来た。
誕生から書き出してしまって思いのほか長くなってしまった。

書きながら気づかされたこともたくさんある。
ああ、そうかあ、そうだったんだなあと。
書いたことで自分自身がいやされたのもある。

時々いただくコメントはそのほとんどがかぎつきで
それはわたしを思いやるコメントばかりで涙がでてしまうことが多かった。

なんできょうたちゃんがこんな目にという立場からのことばが多かったのだが
わたし自身は風の病気をちいとも不幸なことだとは思っていない。

むしろ風の病気のおかげでわたしはやっと自分の人生がはじまったような気さえしている。

周りの先輩の方々に
「風くんはだいじょうぶだよ。健康の回復をするに違いないよ。それを疑ってはいけないよ」と言われた。

方々、なのだ。こう言ってくれたのはひとりだけじゃないのだ。
これほどわたしを勇気づけることばがあるだろうか。

疑ってはいけない。

わたしはこのことばをこころからいのちをかけて信じることに決めた。
わたしは風の健康回復を信じる。疑わない。

人生は勝負だ、という。

わたしにとっては勝つとは信じて疑わないこと。
わたしにとって負けるとは信じきれずに疑ってしまうこと。

勝つと決めたからにはぜったいに勝つ。
わたしの人生はいま、たったいまはじまったばかりだ。

長くなってしまった長男の話を最後まで読んでくださった方々には
ただただ、どうもありがとうと伝えたい。感謝の気持ちしかない。

わたしは画面の向こう側にいるあなたの顔は見えないけれど
わたしはあなたのことが大好きです。たぶん。ほんと。

今日は風、ふいているかな。

















写真は2014年2月。古い家族写真ですみません。
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by kyotachan | 2019-04-25 15:21 | なげーやつ | Comments(10)

未来にふく風 <33>

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風が目に見えないように
風のこころもまた目には見えない。

時には怒りを含んだ暴風になり台風になり
突風になってふき抜けて行くこともあるかもしれない。

雨という名前の涙をともなってふくことだってきっとある。

熱い夏の夜にふくさわやかな一風。
風鈴を鳴らす涼しい風。

風は見えない。風は感じるもの。
風はずっと昔からそこにあって今もここにありそして未来にもあるのだろう。

風は凪ぐ。

風は風雲児。
風は烈風。
風は威風堂々。

未来にふく風をわたしは見る。
わたしには見えるよ未来にふく風が。



















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by kyotachan | 2019-04-24 15:31 | なげーやつ | Comments(2)

未来にふく風 <32>

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マクドナルドのアルバイト前日、風はシフト表をもらってきた。
初日は朝の六時から午後の二時まで。休憩は十一時から三十分。

ふたりで食料品の買い物をした。
風がいると荷物を持ってくれるので楽なのだ。

風が急にはつらつとしたように見えた。

わたしは前日におにぎりを二個、にぎった。
当日の朝はベッドの中でドアが閉まるのを聞いた。

ああ、ちゃんと自分で起きれたんだ。

三時過ぎにわたしがアルバイトから戻ると風はもう帰宅していた。
部屋のベッドに横たわっている。

あっ、風の顔を見た瞬間にわかった。
風は泣いたのだなと。

「どうだった?」
「……、くだらなかった」

「そうなの?初日だから、疲れたんでしょう?」
「そういうことじゃなくて、とにかくくだらなかった」

わたしの前では泣かなかったが今にも泣きそうだ。
風のベッドのところへ行き手をにぎる。

「おにぎりは?食べた?」
「食べてない」
「そう、お腹、すかなかった?」
「ぜんぜん」

話していたららわたしの胸も痛んできた。

三ヶ月は続けてほしい。そう思っていた。
三ヶ月、アルバイトをしてそしたらバカンスの季節になる。

夏はゆっくりと休んでまた九月から復学すればいい。
頭の中でそんなプランを立てていた。

「何か、いじわるなことでもされた?」
「ううん、そんなことはない。されてない。とにかくめちゃくちゃ早く作業しなくちゃならないんだ」
「そう。でもお客さんは待ってくれるよ」
「お客さんじゃないよ。責任者の人が急げっていうのに、客は待てるなんて言えないでしょう?」

わたしにはあまり語りたがらず、それだけをしぼりだすように話してくれた。
後で長女の海に聞いたところではとにかく誰かれかまわずどなりまくる責任者の人だったらしい。
風はそのどなり声を全部自分へのばとうととってしまったのかもしれない。

「でもさ、三ヶ月は続けてみようよ」
「な、なんでっ?」
「むずかしいか。でも明日はもう一度、行こう。気持ちも変わるかもしれないし」

翌日はお昼からのシフトだった。
アルバイトから帰った風は昨日とまったく同じ色の悲しみの中に沈んでいた。

「風はよくやったよ。つらいのに今日もちゃんと出かけて行った」

わたしは風にマクドナルドで働いてもらいたいわけじゃあなかった。
わたしは風に健康と取り戻してもらいたいだけだった。

「ママどうもありがとうありがとうママ」
風は繰り返しわたしにそう言った。

風のアルバイトは二日間で幕を閉じた。


















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by kyotachan | 2019-04-23 15:34 | なげーやつ | Comments(4)

未来にふく風 <31>

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風は入院中に大学を辞めることを決めていた。

風とおない年の男の子が今年は何もしない一年と決めていることもあって
わたしたちも特別それに反対はしなかった。

大量のクスリを服用しながら普通の学生生活が送れるとも思えなかった。

風はよく外出する。
友人とお茶しに、友人宅へ遊びに、時には夜、食事を終えてから出かけるときもある。

夜出かけるときには何を飲むわけ、と聞いたことがある。
「ビール。味つきの」らしい。

医者もたまのアルコールは問題ないというのだとか。

両耳にピアスをあけて、時には首にネックレスをかけたり指輪をしていることもある。
それをして気持ちが軽くなるなら気分がよくなるならおおいにすればいいと思う。

部屋に引きこもってしまうことだけはしてほしくないから
風が出かけるときはほっとする気持ちがある。どんどん出かけなさいと思う。

落ち込むときもあるらしく「何もしていない自分をものすごい怠けものだと感じる」と言ったことがある。
風、風は怠け者じゃないよ。今は治療に専念していると思えばいいよ。

九月にはまた大学へ戻るつもりにしているらしいが、
それまでは特にやることもない。

職安へ通ったり、フォーマッションが受けられると聞けば出かけて行く。
何もしない自分をはがゆく思うらしい。

風は色んなところへ自分の履歴書を配って歩くようになった。
アルバイトをするというのはわたしもおおいに賛成だった。

やはり十八の大の男が日がな一日中家でごろごろ、というのはどうもいただけない。
ただ、仕事を求めている人たちは大勢いるのだから結果はどうかなとも思っていた。

三月に入ったある日風が言う。
「ママ決まったよ。マクドナルド」。

退院してから三ヶ月半ほどがたっていた。
風の顔が昨日とは違って見えた。


















写真は2014年2月。姉の海、妹の結。Vaugrenier。
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by kyotachan | 2019-04-19 16:37 | なげーやつ | Comments(2)

未来にふく風 <30>

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風が退院したのは十一月十六日だった。
ちょうど一ヶ月と一日、入院していたことになる。

入院も後半にはかなり退屈していて、それはいい兆候だと受け止めた。

退院する前に二回ほどお試し外出というのがあった。
その時風はほとんど家にはおらず、友人たちと会うことを優先した。

「何か食べたいものある」と聞けば「ケバブ」だという。
ああああそうですかそうですかケバブなら外で食べるということだった。

風が家に帰ってくる、という小さな出来事は
家族全員がひとつの大きな山を一緒に越えたようなよろこびがあった。

そしてその時、電気はまだ戻ってきていなかった。

わたしの日記帳に引かれた二本の線のうち、「風」のほうがはやく止まったことになる。

その線に「退院」と書きつけながら、でも「病気」という線を引くなら
それは「停電」よりももっともっと長く続く線なのだろうなとふと思う。

ぐちはこぼさない、夫を責めない、と決めてはいたものの
こころの中までは自分の気持ちを説得しきれていたわけではなかった。

口を開けばぐちが出てしまいそうな恐怖があり、わたしは夫に対してだんだんと口数が少なくなっていた。

子どもたちも父親を責めることはいけないとでも思っているのだろうか
夫がいるときには不平不満を言わないのは見ていて不思議なくらいだった。

そして夫が不在の時にはわたしにその不平不満をぶつけてくる。
ああ、この子たちはこの子たちなりに夫に気を使っているのだと思うとなんだかおかしかった。

風が家に戻ってきて十日ほどして電気が復旧した。
電気の線は「四十二日間」までのびた。

















北の方にたつ山の名前がわかりました。モン・ショーヴ。Mt.Chauve てはげ山ってこと。
え!はげてませんよね?笑えるー。
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by kyotachan | 2019-04-17 15:26 | なげーやつ | Comments(2)

未来にふく風 <29>

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クリニックへ入院してから、両手首に包帯をぐるぐる巻きにしていることがあった。

寝ている間にかきむしった、と風は言ったが
夫が看護婦さんに確かめるとプラスティックのナイフで切った、らしい。

自傷行為にはほとほと驚いた。

入院する前、自宅でのことが思い出された。

風の後に風呂場を使ったとき、足ふきマットに血こんがついていることがあった。
バスタブの中にもいくつかある。

その少し前に痔を発症したことがあったから、それが再発したのだなと思った。
そして夫に聞いてもらったのだ。ここは男同士がいいのかもと思って。

夫の答えはこうだった。
「痔はもうすっかり回復して、その後の再発はないって」

その言い方があまりにもあっけらかんとしていて、なんだかそのままになっていた。

そして、ベッドのシーツにもよく血こんを見つけた。
風は鼻血をよく出すから鼻血とばかり思い込んでいた。

この頃から自分で自分を傷つけることがあったらししい。
足の根元辺りを切ってみたりとか。

風はこのまま家にいたままではもっと自分を傷つけてしまうと思ったのだろうか。
クリニックに入ればきっと安全に違いないと思ったのだろうか。

自分で自分を傷つけたい、自分で自分を死なせたい、という気持ちはどうして、そしてどこから来るのだろう。















ニースの北へ向かう道。この山の名前なんていうのだろう?
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by kyotachan | 2019-04-16 15:24 | なげーやつ | Comments(0)

未来にふく風 <28>

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人はなんて簡単に死んでしまうのだろう。

バイト先の向かい側にケバブ屋さんがあった。
わたしくらいの年齢の男性がひとりでやっている店で
すれ違えばあいさつをするくらいの関係だった。

病気らしい、とうわさで聞いて、そうかあ、と思っていた。
時々、お店が閉まるようになった。

その人が死んだ。

えっ?!
先週くらいにはだって、お店にいたでしょう!

聞けばすい臓がんだったらしい。
それにしたって人ってそんなに簡単に死んでしまうもの?

もう一人、この人はもう八十歳くらいだったと思うけど
いつもにこにこしているマダムで、バイト先にお直しの用聞きで来ていた。

パンツの裾上げなど、品物を引き取りに来て
また持って来てくれる、ということをしていた。

その人も死んだ。
やはり何か病気を抱えていたらしい。

わたしも死ぬんだなとなんだかしみじみ思った。
もちろんわたしたちは生まれた瞬間から死に向かって歩きはじめるのはわかっている。

だけど今、実感としてほんとうに死が近づいているのだなと感じた。
わたしはもうすぐ死ぬ。

不思議なことに死を強く意識したとたん、
精一杯生きてやろうじゃないかという勇気としか呼べない感情がわきあがってきた。

わたしはどうせ死んでしまうんだ。
じゃあ今のこの時を必死で生きてやる。

宿業ということも考えた。
わたしは自分の宿業がなんなのかいまだにわかっていないのだけど
宿業っていまの、わたしの言動や思ったことが、未来の宿業を作るらしい。

え?!

じゃあわたしは未来の宿業をいま、たった今、作っている最中ってこと?
よし、いいぞいいぞ、いまからわたしは徹底気的にいいことしか考えない。

なぜわたしが?という犠牲者にはならない。
いまの状況はむかしの自分が作った宿業なんだと思い知る。

そしてたったいまから未来をあかるいほうへ持って行くと決める。

わたしの未来と風の未来をあかるいほうへ導いてみせる。
わたしはそう信じることによって絶対にあかるい未来を勝ち取ってみせる。

そう思えたときに何もかもを書いておこうと決めた。
















写真は2014年1月リベラッション。ニースは鳩天国。
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まだ終わりじゃないよ。もうちょっとだけ続くよ。読んでくれてどうもありがとう。








by kyotachan | 2019-04-15 16:27 | なげーやつ | Comments(0)

未来にふく風 <27>

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バイセクシャル、と聞いてまず思ったことが、それずるくない?ということだった。

L レズなら女性同士。
G ゲイなら男性同士。
B は男性と女性両方。
T はカラダとココロの性の不一致。

と解釈しているのだけど、つまり風は男性に恋することもあれば女性に恋することもある、ということなのだ。
現在の恋人は女性。

わたしだって女性に、きゅーん!とした恋心を感じることはある。
なんとなくだけど恋に似た感情を抱くことはある、ような気がする。

実際に「ああこれは恋だ」と認識するにはいたらずとも。
これってもうすでにバイセクシャルなんじゃないの?

いや、違うか。
わたしはそれを苦しみと思ったことはない。

風は苦しんでいるのだ。それを。

そして今度は夫が苦しむ番だった。

夫は顔を両手でおおって泣いた。
自分の息子が、自分のひとり息子がバイセクシャルということをどうしても受け入れたくないのだ。

「なんでボクの息子がバイセクシャルなんかになっちゃったんだ。そんな不自然なものに」
「違うよ。なったんじゃないよ。風はバイセクシャルとして生まれたんだよ。自然なことなんだよ」
「キミは母親だから簡単に受け入れられるのさ。ボクとは違う」

ガールフレンドがチュニジア人、というのもどうしても気に入らないらしい。
フランスとアフリカの国々との間にはあまりにも深い歴史がありすぎてわたしには理解できないところがある。

夫がチュニジア人を気にいらない、ということを単に「差別」とは言い切れないところがあるのだ。
わたしはその歴史の中にいないせいで、かえって簡単に受け入れることができるのだと思う。

何度話しても議論の交わることはなく、どこまでいっても平行線のまま。
苦しむ夫の姿を見るのは悲しいがわたしにはどうしてやることもできない。

した二人を連れて風のお見舞いに行ったとき、風はそうすることを決めていたように
妹たちにも自分がバイセクシャルであると告白した。

その隣に立つ苦渋の表情の夫。

風は自分の苦しみを開放しはじめた。


















写真は2014年1月。昔ニース鉄道の駅だったところが図書館に改装された。リベラッション広場。
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by kyotachan | 2019-04-13 15:25 | なげーやつ | Comments(4)

未来にふく風 <26>

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風から電話がかかってきた。クリニックから。
正確にいえば、夫の電話にかかってきて、「風からだよ」とその電話を渡された。

夫と風は時々電話で話していたけど、
わたしと話したい、ということはそれまで一度もなかったからちょっとびっくりした。

「どうしたの。風。もしもし?」
「ああ、ママ?」
「うん、そうだよ。どうしたの?」
「あのね、ぼく、ママがボクにしたことを許すことはできない。
だけど、これから先もママと一緒に生きていくことにしたから」




それはこのことを言っているのだなとすぐにわかった。
「そう。それはよかった。うれしいよ」

わたしはほんとうにうれしかった。
許さなくてもわたしと一緒に生きる。
なんて正直でうそのないことばだろう。

「それとね、もうひとつ、言っておきたいことがあるんだけど」
「うん、なあに?」
「ボク、バイセクシャルなんだ」
「……、ああ、そう。うん、わかった。ちゃんとわかったよ。電話、どうもありがとう」

今思えばこれは、治療の一環だったのかもしれない。

許せない相手に自分の気持ちをきちんと伝える、とか。
自分の抱えている苦しみを打ち明ける、とか。

風が自分でかけてきているというよりは
そうしなさい、と言われたからかけてきている、という感じだった。
確かめてはいないのだけど。

夫はおそらく、わたしの前に同じことを言われたのだろう。
顔を青くしてぽつんと言った。

「このことはできるだけ秘密にしておこう」
「え、このことって?」
「風がバイだってことだよ。ああなんてことだ」

















写真は2014年1月の市場。焼く用のりんごってけっこう痛んでいる。そのほうがおいしいのかも?
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by kyotachan | 2019-04-12 15:23 | なげーやつ | Comments(0)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族
S M T W T F S
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