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2019年 03月 15日 ( 1 )

未来にふく風 <11>


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キミはカランをしないキミはカランをしない、と夫に言われ続けていた。

カラン、とは câlin と書く。訳せば愛撫とでも言うしかないが、
つまりはべたべたとすることだ。

日本人だから、日本にはそういう習慣がないから、日本の家庭では……、
そのたびにわたしは自分がカランをしない理由を並べ立てた。

それはけしてうそではなく、わたしはほんとうに親からカランしてもらった記憶はない。

あれはカランだったかなという思い出はひとつだけ。

小学生だか中学生だったころに部屋で電気を消して寝たのだが、まだ寝入ってはいなかった。
そこへ母親が入ってきた。わたしは寝たふりをした。
「あら。きょうたちゃん、もう寝とらすばい」
そう声に出して言うとわたしのほっぺたにちゅ!としたのだ。

お母さんが?というオドロキ。そしてウレシサ。
カランのない文化の中にも愛はきちんと存在している。

ひるがえってフランスという国はそれはもうカランのお国ではあるのだった。
子どもが生まれたときからカランは日常生活の中にあふれかえっている。

ビズ(ほっぺたとほっぺたをあわせる)もカランのひとつだろう。
起きたといってはカラン、出かけるといってはカラン、ありがとうといってはカラン。

キミはカランをしないキミはカランをしないと夫に言われ続けて
わたしはわたしなりに努力をしようとはしているのだ。

<10>の時代より少しさかのぼるのだけど、
前のアパートに住んでいた頃、四人の子どもたちはひとつの部屋で寝ていた。

子どもたちにおやすみを言うとき、ひとりひとりのベッドに入って背後からぎゅうっと抱きしめる、
というようなことをやっていた。わたしのカランだ。

後々、この時のことを思い出そうとすることになるのだが、
わたしにはどうしてもわからない、覚えていない、という事態になるのだ。


















写真は2013年5月、お友だちと行った Beaulieu の海。グレーだ。
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本日はちょとサスペンス風。……でもないか。








by kyotachan | 2019-03-15 16:31 | なげーやつ | Comments(2)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族