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伝えてはみたけれど。

かわいいリノと老練したリノの間を行ったり来たり。
気がついた時にはミチルはリノに夢中だった。

寝ても覚めてもリノのことばかりを考える。
そして今日も夜になれば会える!

心の底からわきあがる、この気持ち。
わあ。自分の中にまだあったんだ。こんな気持ちが。

人を思ってどきどきする、この気持ちは
自分が十八だった頃とちいとも変わってない。

なんという驚き。

この気持ちを伝えたい。
いやいや、伝えたところでそれが何になる。

それでも伝えたい。
でも今の関係がくずれたらどうするの。

しゅんじゅんして迷いに迷った。

それに伝えるといったところで
ミチルはリノの電話番号さえ知らない。

職場には周りの目がある。
二人きりになる時間や場所はない。

ミチルは携帯電話のメモ欄に
自分の気持ちを書いてみる。

「(リノはけして想像できないよ。
わたしがリノと知り合うことができてどんなにしあわせなのかを)」

「(わたしは毎日リノと一緒に働くことができてうれしい)」

「(わたしはリノのことを抱きしめたくてしょうがない)」

「(それは厚い友情か、あなたの母親みたいな気持ちからだけど)」

「(わたしはリノのことをずーっと一生、知っていたい)」

ミチルは一行、一行、メモ蘭のページをめくってこれを保存した。
そして翌日、二人でまかないを食べている時にリノに見せた。

「(リノ、これ、見て)」。

ミチルは携帯電話をリノに見せ、
リノが読むたびにページをめくっていく。

リノは
「ん?」
「へえ?」
「オッケー」
などとと言いながら読んでいく。

リノは自分の思っていることを何も言わなかった。
「ありがとう」でもなく「こんなの迷惑」でもなく。

そうか。
何も言わないか。

そうだよなあ。
そんなこと言われてもなんて返せばいいかわからないよね。

ミチルは自分の中にあった重みを吐き出したことで
気持ちが軽くなった気がしていた。

リノの態度は何も変わらなかった。
くやしいほどに何も。













ったくいい年したおばさんが何やってんだか。
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すみませんほんとうに。まじではずかしい。








by kyotachan | 2022-06-24 16:46 | joie ジョワ/ 歓喜 | Comments(0)

南仏・ニース在住。フランス人元夫の間に一男三女。