優子ちゃんのお母さん


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小学校・中学校で仲良しだった優子ちゃん。
小学生時代には優子ちゃんの家によく遊びに行った。

お父さんはタクシードライバーでお母さんは専業主婦。お姉ちゃんがひとりいた。

優子ちゃんのお母さんはよくクッキーを焼いてくれた。
マヨネーズも手作りだった。
お裁縫や編物が得意でスカートや手袋を作ってもらったこともある。

顔の造作もモダンでちょっと外国人風だった。
そして授業参観には着物で現れたりした。

わたしの母親は働いていていつもばたばたしていたのに対して
優子ちゃんのお母さんはいつもゆったりとしていた。

おやつにりんごをむいてくれた。
わたしと優子ちゃんの目の前で、とてもゆっくり(に見えた)、
りんごの皮をまあるく、つなげてむいた。

わたしはそれを手品でも見る気持ちで見入った。
わたしの母親はいつもりんごをまず四等分に切ってから皮をむいたからだ。

「すごかねー。おばちゃん、つなげてむっきっと。うちのお母さん、しいきらっさんと思う」
わたしは感嘆の声をあげ、おばさんはゆっくりと笑った。

「そげんことなかよ。きょうたちゃんのお母さんもしいきらすって」。

わたしは優子ちゃんのお母さんが母親を傷つけまいとしていると思った。

家に帰ってから、興奮気味に母に言った。
「優子ちゃんのお母さん、りんごの皮ばつなげてむかすとよ」

母はきょとんとして、「母ちゃんもできるばい。そがんむずかしかことやなかもん」。
母が平然とそういうのでこちらはまたまたびっくりだった。

「うそっ。いつも四つに切ってから皮ばむくやん」
「そりゃあ、そっちのほうがしやすかもん」
「じゃあ、つなげてむいてっ」

母はしゃーないなー、という感じで、その場ですぐにりんごの皮をまあるくむいてくれた。

母親の言ったとおり、母はそれを難なくこなした。
なんとなくほっとして、なんとなくがっかりした。

そして優子ちゃんのお母さんのほうが上手にもっと上手にむいていたように感じた。
あれはどういうことだったんだろう?
















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by kyotachan | 2018-01-17 01:23 | お は な し | Comments(0)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族
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