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enfant アンファン/ 子ども









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子どもの部屋から変な音がしている。
アラームのような。

不審に思って部屋に入るとそれは三女のスポーツ用のかばんの中から鳴っている。
コレージュに入ると同時に父親に持たされている携帯電話だった。

持たされたものの、「わたしはいつもユイ(次女)と一緒でひとりになるときなんてない」
と結局は携帯することはなく、携帯電話の機能をまったく果たしていない。

夫はすでに帰宅していた。
「ああ、今、三女の電話にかけた?」
わたしが聞くと「かけてないよ」と言う。

わたしたち両親以外に三女に電話する者?
夫が電話に出ると、相手は次女だった。

三女とはぐれた、と言う。

「イヤホンで音楽を聴いて歩いてた。気がついたらソラがいない」
とかなんとか言っているらしい。

夫は「イヤホンのくそったれめが」と怒鳴る。

ちょうど、ダンス教室に出かけようとしていた長女がとっさに出て行った。
その後を頭を噴火させた夫が追う。

その日は金曜日で長男もすでに帰宅しており
わたしは長男とふたり、ぽつねんと家に残された形になった。

三女が後からやって来た車に無理やり乗り込まされ、どこかへ連れ去られ、そのまま売りにだされる。
あるいは、
それとも、
いやそんな、

十五分は待とう。

そう思いつつ十分経ったところで我慢できなくなり夫の携帯に電話するも、出ない。
窓から外をうかがっていた長男が「あ、ソラだ、ソラがいるよ」と叫ぶ。

ああ、ほらね、やっぱりなんでもなかった。
わたしは上に向かって目に見えないなにかに感謝する。

歩きながら口論になって、お互いにお互いを見ないようにして歩いていた。
そして三女のほうが歩く速度が早くてずっと家に近いところにいたらしい。

夫が次女に「三女のことはおまえの責任だからしっかりしろ」としかりつける。
泣きながらベッドにふす次女。

わたしはベッドに同じように寝ころんで次女の後ろからぎゅうっとする。

「ソラのことはユイの責任なんかじゃないよ。ただ帰るときは一緒に歩こうよ。
ユイはちいとも悪くない。携帯電話を持っていなかったソラのほうが悪い。
ユイはソラがいないのに気がついてすぐに電話かけたんだもの。えらいえらい」。

子どもが無事だったらわたしはもう、なんでもいいんだった。


















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Commented by dangomama46 at 2015-10-13 19:22
うん、わかる なんかあったら、すぐ悪いほうに考えてしまう親心?心配するよねぇ まだ、小さいもんねぇー
でも
がつんと??ってくれるだんなさま、素敵だわ^! 私はもう 心配にも疲れたよ~ もう
反抗期で言うことを効かないから どうにでもなれ!って心配するのを休んでるよ
Commented by tomatomatos at 2015-10-13 19:36 x
でもこの出来事で子供達がまた育ち
育てられたように子育てするんだろうね
気をつけるように叱ったり
叱られた子をぎゅうってしたり…
私は離れた娘たちに叱られてる
昔叱ったみたいに(汗
Commented by kyotachan at 2015-10-14 15:28
だんごさん、
悪く悪く考える自分と「そんなことまさか」とそれを否定する自分が闘ってました。ほんの十分が長かったー。がつんと叱る、というか、そんなのあまりにも理不尽、と思うことが多い。夫は夫で心配しすぎてそうなるんだろうけど。口を出すとこちらに飛び火するので後で子どもたちをフォローしています。

とまとさん、
あはは!八十のママと六十の娘さん、の友人(フランス人)を見てると、ほーんと、どっちがママでどっちが子どもよ?と思う。喜劇のスケッチを見ているみたいだよ。とまとさんも今や子どもたちに叱られる立場になったんだ!思えばわたしは今でもよく子どもたちに叱られている。なんたって「ママはガイジン」という立場にいるから彼らは。何を言ってもとんちんかんだし話が通じないし、「あーもーママー」と言われているよ。
by kyotachan | 2015-10-13 16:38 | 非 日 常 事 | Comments(3)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族
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