2014年 01月 19日
parapluie パラピュリュイ/ 傘

ニースに来た当時は雨が降っても傘をさす人を見かけることが少なくて驚いたものだった。
今ではどういう理由からか、傘をさす人が増えた気がする。
それともそれはわたしの思い違いか。
ニースに来た当時わたしは三女を妊娠中で次女はまだ一歳になったばかりだった。
ダブルのベビーカーを押して傘をさすことはできないからわたしは傘をずっと持っていなかった。
そしてわたしの出かける先は送り迎えする学校に決まっていて、
そこにもベビーカーを押しているせいで傘をさしていない母親たちがむらがっていた。
こちらの幼稚園と小学校は傘を学内に持ち込むのは禁止されているから傘を持っている子どもも少ない。
わたしの目に入ってくるのはその手の人たちが多かった、というだけのことかもしれない。
確かその頃だった。
ベビーシッターをお願いしていた日本人の女学生の人に言われた。
「わたしは子どもはせいぜいふたりまでです。だってキョータさん、めちゃくちゃたいへんそうですもん」。
一瞬ぐさりと傷ついた。ような気がした。
わたし自身はたぶん「めちゃくちゃたいへん」とは思っていなかったのだろう。
それなのに周りにはそんな風に見えているんだ。
長男が幼稚園生だったとき、
「熱が三十八度以上あるからお迎えをお願いします」
と学校から電話がかかってきたことがあった。
外は土砂降りの雨が降っていた。
ちょうど、今みたいに。
次女と三女はちょうどお昼寝中だった。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
胸がにわかにどっくんどっくんと鳴りはじめた。
すると次女が目を覚ました。
三女はぐっすりと眠っている。
迷ったのは一瞬で、わたしは次女だけをベビーカーに乗せて、文字通り家を飛び出した。
ばけつをひっくり返したような雨が降っていて通りには人ひとり、猫一匹いない。
その中をダブルの大きなベビーカーを押して川のようになっている道を歩いた。
当時子どもたちは学区外の公立に通っていたから徒歩でゆうに十五分はかかる距離だった。
カゼ~待ってろよ~お母ちゃんが今行くからな~
ソラ~少しの間寝てておくれよ~お母ちゃんはカゼを連れてすぐに戻るからな~
水たまりの中に足をがしがしとつっこみながらわたしは口の中で唱えていた。
大丈夫だ絶対に大丈夫だと自分をこぶしていた。雨に打たれながら。
幼稚園でゆでだこのような顔をした長男をベビーカーに押し込んだ。
ぐったりしていてとても雨の中を歩ける状態じゃなかった。
後ろがベッドになるベビーカーに、この頃の長男はまだ乗ることができたのだ。
もう四時近い時間だったから、長女にも早退をさせてもらった。
わたしたはもちろん、長女も傘を持っていなかった。
土砂降りの雨の中を再び歩いて帰ってきた。
帰宅して、ベビーベッドの中で依然ぐっすりと眠っている三女を発見したときのあの気持ち。
ありがとうございます!
わたしは何かに向かってお礼を述べていた。
傘をさす人が増えたとっていてもそれは骨の折れた傘、がだんぜん多い。
というより、ニースで調達する傘はすぐに折れてしまうのだ。
そして人々は折れた傘を平気で使い続ける。
もちろん傘のない人も依然として多い。
かっぱを着て雨をしのいでいる人はもちろんのこと、なんの対策も立てない人も多い。
つまり、ぬれるまま。
このぬれるままのひと、年齢性別もまさにさまざまでシックなコートを着ている妙齢のご婦人が
雨にぬれるままに歩いている姿もめずらしくない。ぬれるのが好きなのか?
今でもクスリと笑ってしまうのがシャワーキャップをかぶっているご婦人方。
はじめて見たときは何か間違っているものを見た気になって目をぱちぱちした。
ところがこのスタイル、なかなかに普通のスタイルとして定着しているようなのだ。
おそらくはセットした髪型が崩れるのをふせぐ目的なのだろうけど、でもさ、だったら傘、さそうよ?


私は子供は居ないけれど、従兄弟が小さかった時、妹に姪っ子達が小さかった時にシッターしてお手伝いしたので、もう一人ベビーベッドで眠っているのを置いて出かけなければいけなかった時の同じ様にドキドキした気持ち、思い出しました!
心配していたらキリがないけれど、もしや、とか思うとね。
ホントに四人も子育て、、素晴らしいです。母は強し、、。
以前コメントを残さず、泥棒のように帰った(『コメントの残し方』読みました!まっきーです。
私はスウェーデン在住9年目です。4人子供が欲しかったんですが
さずかったのは一人。でも大満足しています。
こちらの人も雨が降ってもあまり傘はさしません。
以前は傘を売っているのもあまり見かけませんでしたけど
最近はよく見かけるようになりました。
息子は7歳ですが、父親の仕事の帰りが遅くなり、私が仕事にでていかないといけないというハプニングがあると
数十分ですけど、息子を一人置いてでかけます。
そのときは本当にドキドキします。熱がでた息子さんを向かえにいく、
そして眠っているお嬢さんを残して・・・・心配だったでしょう。わかります。
でもぐっすり眠っててよかった。母親をしているとそういう思い出もたくさんできていくんだなと思いました。
四人って!とはよく言われるのだけどでも二人も四人も子どもを育てるたいへんさはかわらないのでは?かえってひとりっこのほうがずっと子どもの相手をしなくちゃならなくてたいへん、ということもあると思うし。着るものはほんとうに、実用第一でわたしも子どもたちに「ママ……マジッ」とよく言われます。
ラパンさん、
ちがうのちがうのちがうんですー!話を美化してくれるのはうれしいけどでもそれはちがうの。フランスでは十一歳以下の子どもを家にひとりでおいておいたり外をひとりで歩かせるのは法律違反なのですって。だからわたしはほんとうは眠っている三女を起こして出かけなくてはならなかったの。それを怠ったんです……。それをなんだかがんばっている母風に書いてしまってすみません……。
コメントありがとうございます!うれしい~。わたしも時々おじゃまさせていただいておりました~。
北欧、てわたしにとってはあこがれの土地で生きている間に一度は行ってみたいと夢見ています。まっきーさんのコメントでなんだか夢が一気に近づいた気がします(単純単純)。七歳、というと日本ではもう学校への行き帰りもひとりでする年齢ですよね?フランスでは十一歳、と法律で決まっているらしくてそれ以下の年齢の子どもが街をひとりで歩くこともありません。見かけるとおそろしく不自然な感じがします。わたしもやってはいけないことを色々と犯してここまでなんとかやってきました。でもこれってほんとうに幸運なことなんだろうなあとしみじみ思います。今後ともどうぞよろしくお願いします!
寝てて!、と思いながら娘とダッシュ。
帰ったら寝ててホッとしたなぁ。と、まだ今年の冬も油断出来ませんが。。。
シャワーキャップも買い物袋もあれは被るためのものですから!!
あ、そうそう、書きそびれたー。買い物袋もかぶってるー。それも上品そうなマダムがー。あーおフランスー。

ブローしたヘアースタイルを崩したくないという理由で、突然の雨の時に買い物袋を被っていたのを見て、「ああ。これは日焼けしたくないからどでかいサンバイザーを被る日本女性と通じるな」と。。。
チロ一周年祭り開催中!

おぬし、めざすは小山健でしょう、ずばり!がんばれー。

もしくは西原理恵子せんせい。。。

我が家も子供が2人から3人に増えました。長女とは10歳、次女とは8歳違いの弟です。歳が離れているので色々と忘れてしまったことも多いですが、反面余裕な部分もありで、こんな風だったらもう一人くらいいてもいいかも!?なんて思う自分もいたりします。でもこれが歳の近い兄弟だったら大変でしょうね。

そうそう、寝ている子供を家に置い上ておくのはいけないと思いつつ、冬の間の送り迎えは寒かったり、雨が降っていたりで寝ているのを動かすのがしのびなく迷った末にダッシュで上の子達の送迎をしたこと、実は多々あります。上の子達2人の時も歳が近くて一緒に買い物などに行くとそりゃもう大変で、2人がお昼寝している間に猛スピードで買い物に行ったこともありました(これは日本にいた時ですが)。幸い何もなかったですが、もしも何かあったらそんな子供を置き去りにして、なんて大批判を受けたでしょうね。
傘をささないのは本当に驚きました。途中から降ってきたならまだしも明らかに朝から大雨なのに傘をささないで登校してくる子供達の不憫なこと!娘達には傘をさすように言うのですが、大丈夫、いらないと言われることもあり、ああこうやってフランス人は変なところを鍛えられていくのかな~などと思ったりします。
やっぱり貴方はやるね! 強いとかじゃなく やるね!
ゆるゆるのバアバもいない異国の地で子育ては半端なく大変だったと思いますよ(本人の自覚が有るなしと関係なく^^;)
うちの娘、大阪にいますが熱でた!寝れない!歯が痛い!と言っては私が高速バスで子守にいく環境・・ゆるゆるバアバがいると だめだね。
最近、日本でも傘をさす人は少ないですね。学生で傘さしているのはほとんどいない。
な~にをおっしゃいますうさぎさん~。そんな風に言ってくださるな。ほんとうに恥ずかしいんですから。
ちろさん、
……。……。あまりにも距離のありすぎるお二人の名まえにちょっと止まりましたが、でも足して二でわると「しのわだワールド」?せんせい、と呼ぶあたりが、本気感が出ている。小山健は「ニンゲンてしょせんこの程度だよねだよね」の感じがわたしは好きです。かっちょいいやつだろうがかっちょよくないやつだろうが結局はヒトには変わりないわけで、頭の中は差がないということをつきつけてくるよね。いやほんと、そうですよねと。
て、もしかして tchigma さんのご友人???てことはナントご在住なんですね。年の離れた、それも男の子が!それはもう、目の中の入れても痛くないなんてレベルじゃなくて食べたいくらいでしょうね。そうそう、もうひとりいてもいいかもとはわたしも思うんですよ。長男に同性のきょうだいがいたらいいだろうなあって。わたしはもう、五十が二年後に控えていてさすがにかないませんがよしこさんにはぜひ、もうひとり!なーんて。他人事だとなんでもいえますね。いやあほんとうに、子どもの小さいときのお買い物のたいへんなことといったら!わたしだって、ありますよ。自分的には経験から「今行けばだいじょうぶ」と思っているからそうするのだけど、そして実際にそうしてしまうのだけど、でもやっぱり何もなくて無事だったのは幸運中の幸運であるとしかいいようがないですよね。お互いに守られていましたね……。
傘!こちらの学校では禁止なんです。おそらくとがっているし、小さい子どもたちがちゃんばらを始めるだろうことは予想がつくし、そんな理由なんだろうとは思いますが。そちらはニースよりも雨の日が多いでしょうから学校に傘を持ち込んでも大丈夫なんでしょうか……。
今日はもう、久々に太陽の下を歩きましたよ!雨に街が洗われるとはいってもやっぱり晴れると気持ちも晴れ晴れします。
ちちち、ちがうのー夢さん、やらないやらない!わたし、ほんとうにやるね!な女じゃないのだってー。もうね、お母さんひどい、早く死んじゃってひどい、てぐちってぐちって生きのびてるのー。もう、そんな風に言ってくれる人がいると今すぐ飛んでいって抱きしめてもらいたくなる。お母さんがいたら、わたしだってすぐ呼びつける。なんでもやってもらう。病気にだってすぐになっちゃう。夢さんはいつまでも元気でお嬢さんとお孫さんのお世話、してくださいよ。ほんとですよ!

ちょっと お久しぶりかな?♪
私なんて は~るか 大昔… 毎日 娘 お昼寝させて ちょっと 離れた 牛舎に 行って 牛の 世話☆してましたよ
そしたら 目を 覚ました娘が タオル握りしめて うちから 歩いて来て(^_^)v あ~ よかった~ って 思ったものでした☆
かわい~い乳牛も いてた 若かったあの頃に 戻りた~いよ☆
いただいたコメントを読んで、ああ、わたしもそうだったなあって思い出しました。母親が向かいにある病院で働いていて、わたしはお昼ねから起きると表に出て、病院に向かって泣いていたそうなんです。むかしは子どもを放ったらしにするのどかな空気がありましたよね。
じわーんと来てしまった…。
誰かに「大変ね…」って言われて悲しくなっちゃうの、ちょうど次の記事に書こうと思ってたことでした。
いや、私も言ってしまったこと、あったと思うけど。
でも、実はそれは言った本人の心象風景なのかな…って最近は思います。(更につきつめると、受けた本人の心の奥にも同じ種があったりするのかもしれないけれど…考え出すときりがない(笑))
だって、同じ現象を見て、素晴らしいね!幸せだね!って言ってくれる人もいるんだもの。
とはいえ、時には「大変ね…」って言ってもらって救われるっていうケースもあったりもするので、言葉というのは難しい…。