2013年 11月 24日
une famille ユヌファミーユ/ 家族
三女(九歳)は学校でギターの授業をとることができた。
オプション授業で、費用がかかるけれど、一般の教室よりも格安だ。
数年前からギターが習いたくてしょうがなかった三女にはうってつけで
早速ギターを買ってもらって毎週木曜日にはギターを抱えて通学している。
三週間目あたりから sur le pont d'avignon シュールポンダヴィニョン/ アヴィニョンの橋の上で が家の中に流れるようになった。
三女がギターを弾き始めるとばたんばたんとドアの閉まる音がする。
三女がギターを弾くとまわりに人が集まってくるにはもう少し時間がかかりそうだ。
長男(十三歳)は今年の夏、わたしの身長を追い越したと思っていたら
それからもひょろひょろと丈をのばし続けており
足首の出すぎたパジャマが見ていて気の毒なほどだ。
持ち物管理に関しての才能にはとんと恵まれなかったらしく
とにもかくにもしょっちゅうモノをなくしている。
去年は学校の食堂カードを、わたしの記憶では四回もなくした。
わたしの記憶では、と断るのは本人は「三回だ」と言い張るからだ。
食堂カードの再発行には十ユーロ(約千円?)かかるから
こちらはもう、阿修羅界に突入すんでのところまでいった。
今年は食堂カードの話は出ないなと思っていたら、なんと今度は学校のロッカーの鍵。
一度なくしたとき、学校のロッカー担当の職員が持っている合鍵(それを預けるシステムになっている)を出してもらえばよかったのに
なぜかそれを拒んで、あたらし鍵を勝手につけた。
それをいままた、なくしてしまったようなのだ。
……もうちょっと、……どうにかならないものだろうか、この男子は?
と思うことは多いけれど、ひとり息子、っちゅーのはなにをやってもかわいいのだ。
次女(十一歳)は長女の部屋で過ごす時間が増えた。
なにをくっちゃべっているのやら、女子の匂いがぷんぷんとする。
長女に比べて、手足が長いから、四歳の開きはあるものの、長女のお下がりを比較的すぐに着ることができる。
長女にはなれない、末っ子にもなれない、というむずかしいまん中をちゃんと理解しているように思う。
時にはおねえちゃんを、ときにはいもうとを、どちらもきちんと演じている。
まん中同士の長男にはむかつくことが多いらしく
ふたりのけんかの様子はを見ていると「なにもそこまで」と思う。
憎しみのとなりには愛があると信じて見守ることしかできない。
数日前には宿題がこなせなくて、寝る前に泣いていた。
顔も洗わず、歯もみがかず、パジャマに着替えてベッドにもぐりこむのを横目で見て
まあ、一日洗わなくても死なないか、と放っておいた。
長女(十五歳)の成長期は今も続いている。
毎朝、「また身長のびた?」というと、「そんなことないよ。ママが縮んだんだよ」とかわいらしいことを言う。
リセで日本語の通信教育がはじまったので
毎朝、「あいうえお」を順番に書かせている。
朝起きると
「おはようウミちゃん。今日は?」
「たちつてと」
「はい、じゃあ、『あ』からどうぞ」
と冷蔵庫に貼り付けたコピー用紙に「あ」から「と」まで書くのだ。
すんなりといくことはまずなくて、パズルみたいにあちこちが抜けている。
面白いことに「ぬ」や「ね」など複雑と思える字ははすぐにでてきて簡単そうな「に」が最後まで出なかったりする。
五歳まで日本で育ち、幼稚園にも通っていたのに
にほんごの「に」の字も覚えていないとはこれいかに。
五歳当時も、「に」の棒が右側にきたり
「し」や「つ」のはねが逆側にきたりという失敗が多かったのだが
今もまた同じ失敗を重ねていて、つくづく成長のないやつだと思う。
今日は日曜日で、今日の朝、「ロリスと一緒にお昼ごはん食べてもいい」と言ってきた。
ロリスとは小学校時代の男の子の級友で、夏に街で偶然再会したらしい。
ボーイフレンドじゃない男の子とふたりきりで食事など道理に反するのではないか
と反論してみたのだが、「もてないオンナのほざき」とでもみなされたのか、勝手に出かけてしまった。
もう、母親は完全に捨てられてしまっている。
夫は相変わらず。
一週間ほど前、学校に出かけた長女が、すぐにもどってきた。
気持ちが悪い、吐き気がする、と訴える。
なぜかこういう場面には必ず居合わせる夫はその日もいて、顔が真っ青になっている。
「……吐き気が、するらしい」(注。フランス語の「吐き気」と「つわり」は同語)
「キミ、ちょっと様子を見てきて。やんわりと、聞くんだよ。直截的なことは言わないでさ……」
長女のことより夫のことが心配になりつつも長女のそばへいき
「吐き気だって?」
「うん。おとといくらいから、便のほうもゆるかったから、嘔吐下痢症だと思う」
「ああ、そう。生理は?」
「今朝、はじまった」
その会話を伝えると、青かった夫の顔にみるみる安堵の色が広がる。
この先、父親の心配事を数えたら、こちらのほうがどうにかなりそうだ。
今朝だってロリスと出かけることに頭ごなしに反対したかったのはむしろ夫のほうで、
夫は無言でわたしに圧力をかけ、その役をわたしに押し付けてきた。
出かけた後も「これってぜったいおかしいと思うんだけど」と愚痴っている。
「わたしたちはわたしたちの考えを言ったのだから(実際はわたしひとりが言わされたのだけど)あとはもう、彼女がいいと思うことをするしかないじゃない」。
お昼の十二時前に出かけ、二時前にはもうもどってきた長女に、「どうだった~?」とにこやかに話している夫。
わたしは完全に無視されているっつーのに!
ま、今のうちにせいぜい父親に花を持たせておこう。
わたしは相変わらず老いと戦い続けている。
数日前、シャンプーがなくなりそうだったので近所にできたシャンプーやさんへ。
イタリア人の女の子が対応してくれ、「わたしのような髪の毛にいいシャンプーとリンスを」というと
「髪の毛が元気になるシャンプー」と「髪の毛全体がグレーになるグロス」をすすめてくれた。
素直なわたしはこのふたつを購入。
わたしはもう、髪の毛を黒くすることを目指したらだめなんだなと思った。
日曜日のお昼は久しぶりのラーメン。
シブレットという小ねぎに似た野菜をみじん切りにして作った。
最近人気なのは韓国の辛いラーメンに日清のラーメンをブレンドしたもの。
三女だけは日清ラーメンだけど、夫・長男・次女はこの「ちょい辛ラーメン」。
わたしは大根があったので、大根おろしをたっぷり入れたかけそば。
今日は夕食の時間にわたしだけが出かける用事があるので、これからブランケット・ヴォー(子牛と野菜の煮込み)を作る。
わたしがいなくても五人で食べれるもの、といえばやっぱり煮込み料理が便利だ。
お昼も夜も「適当に食べなさいよ」と言うことはまだできず、
それでもそんな日がいつかはやって来るのかなあとぼちぼち思いはじめてもいる。
ごはんの準備だけで一日が暮れるこんな時代が花なのねきっと。
久しぶりに六人で車に乗って買い物へ。
狭い空間に四人の子どもたちが乗ると、騒がしいことこの上ない。
夫はすぐに堪忍袋が切れるたちで、子どもたちに何度もどなりちらす。
「うるさい。だまれ。おまえたちは手のつけようがない」。
夫のどなり声のほうがよっぱど騒がしい。
「あらあ、こんなにかわいい子どもたちはいないわあ」とわたし。
わたしはうるさい音楽は苦手だけど、子どもたちが騒々しいのは平気なのだ。
騒がしいうちが花なのよ、きっと。
と夫にいうのはやめておいた。
可愛い家族、万歳!!!
私も こーいう 話 大好き(*^o^*) です
正に こーいう時が 花☆華☆ なんですよご飯の 用意せんと 出かけられない(^_^;時が ね
でも そろそろ ご長女さんも次女さんも お年頃☆
これから お父さま 青くなること たっぷりありますよ↓
少しずつ くるように祈りますね♪
いつか 子どもが帰省する度に「何が食べたい?」としつこく聞く母になると思います。。「何でも良い」って言われそう。
ありがとうございます!かわいい……ですか……。
アンジーさん、
長女が赤ちゃんのころよく言われました。「今がいちばんいいときねー」って。こちらははじめての赤ちゃんでてんてこ舞いでしたから「はあ?」という感じ。でも今はいつでも「今がいちばんいいとき」だと思います。
しのさん、
いい話ですか!ははは!ウチの場合、「ラーメン。ふつーの」とか言われそうでこわいな。
TAKU さん、
楽しい。んですよほんとに。なんでこの人たちこんなに仲がいいの?と思います。違う人生を歩くようになっても仲良しでいてほしいなー。
ラーメン、ドイツあたりで作られているとか。カップ麺のやきそばなんてのもあります。こっちでも生活できますよ sa さん。
思い出したわ、夫さん すぐ青くなってましたもんね・・これから・・・大変だぁ(笑)
そうそう、私もあなたくらいの時 髪の毛に悩んでいました。で、ヘナ100パーセントで今は悩み解消よ・・(って昔の私のブログみてたらkyoutachannらしき方からのコメントに返信していないわ・・ごめんね数年経ったけど) 最近私 皮膚再生(あの京都大)のを使ってるのよ、今後、春ころに「過去に毛が生えていた人に 生える!」って商品が出るらしいですよ。楽しみにしている人多いと思うわぁ。黒い毛が生えるらしい。
今、月に14センチ伸びるので調整中とか(笑)
夫はわたしより母性の強い人みたいで「キミはなぜ平気な顔をしているの?」と責めてくる責めてくる……。わたしだって心配なんですが、でも、通る道は通らないと、という気持ちもあって。このわたしだってかつては、まわりのことが目に入らないほどのレンアイを経験したわけだし、この先子どもたちがこの道を通るのは覚悟しておかなくてはと思っているだけで。夢さんは老化に反逆する力がすばらしいですよね。わたしの髪の毛はかなりシルバーになってきました。もう何を使ってでも染めるのはしないと決めています。京都大の皮膚再生?なんだかすごいことになってきてますなあ。あ!そうそう!S 国の王様との会見は!写真はなくともレポート、楽しみにしてますよ!
賑やかでいいなあ〜。。。
うちの妹も三人娘の母ですが、下の二人はまだ小さいけれど長女が思春期になり、親もとを離れて行く時も段々カウントダウンに入って来た気がして寂しい、と、ガヤガヤうるさかった頃が懐かしい!と今年の年賀状に書いてきましたよ。
思春期は何かと難しいですよね。娘が少女から大人になって行く過程がやはり父親には辛い時期でしょうか。
あ、私もベジタリアンかと同僚に思われるくらい、野菜大好きです。多分同じル クルーゼを持っていますが私は大好きなブルーです。こんな優しい色のもあるんですね〜。
にぎやか。さわがしい。本音はうるさい。でも偶然にも四人もの人を産むことができて、ほんとうに目に見えない何かに感謝しなくてはと思うんです。もともとわたしはひとりが好きでひとりのときがいちばんと自覚していてずっとひとりでも大丈夫、なんて思っていたのです。今はひとりの時間を見つけるのが困難でひとりになるとああ、やっぱりひとりがいちばん、と思うんですが、それでも家族に囲まれているのもいいなと思う。というか、家族のいるわずらわしい時間のおかげでひとりの時間をよりいっそういとおしく思えるというか。
ジョエルさんの記事、ほんとうは三回も四回も読んで、でもコメントしてしまうときっとおいたなことを言ってしまうなとコメントできませんでした。近しい人を亡くすとかなしい。さみしい。なんでなんでと思う。でもジョエルさんはいい死に方をしたなあとやっぱり思ってしまいます。わたしもこんな風に死にたいなと。たとえばガンが発覚して家族に心配かけて看病してもらっていっぱいたくさん迷惑かけて、というのじゃなくて、死ぬ直前まで日常が続いていて、突然、逝く。残されたほうはたまったものじゃないでしょう。それでもわたしが七十年生きたあとにこんな風に死ぬことができたら、きっと歓喜に満ちて死を迎えただろうなあと思うんです。ジョエルさんのご冥福をこころよりお祈りもうしあげます。