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diagnostic ジアニョスティック/ 診断名 (3 )

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(2 )をのほほ~んと更新したその日、九月二十二日。

夕方の四時半ごろ次女の手をひいて表に出た。
処方された鎮静剤が月曜日までもたないかもしれず
念のために買い足しておくためだった。

表は太陽がサンサンとさしており
道行く人はまだまだ夏の格好とかわりない。

わたしは薄手のシャツ一枚にG パンだったのだけど
表に出たとたん、ぞくぞくぞくー!と背中に悪寒が。

あれ?

薬局で薬を調達し次女に聞く。

・夜は......目玉焼きのせ丼でいい?
・ママほら、さっき、ママが食べてたの。あれがいい。
・ああ!そうだったね。じゃ、何もいらないから帰ろう。

その日のお昼はひとり、みそ味仕立てのおじやを食べていたら
ちびちゃんふたりが「食べさせて~」と来ていたく気に入ったようなのだった。

表にいたのは五分、せいぜい十分くらいか。

家に戻って手を洗うと早速熱を測る。
人生五十年近く生きてるとこの悪寒の原因くらいは容易に想像がつく。

はたして「38度5分」。

きましたな。熱が。

一時間ほどあとに夫が戻りそれを伝えると、「あ、そう」。

ふむ。

確か救急で「発熱した場合は重篤な病気である可能性があるので再診するように」と念を押されてなかったっけ?

と思うも口にはできず。
右わき腹の痛みがそれほど強くないということもあった。

それよりなにより夫の疲労もピークに達しているのだ。

・今、薬飲んだところだから、熱がひいたら何か、作るよ。

そういうわたしに、

・いいよいいよ。熱があるのに料理なんかしなくていいよ。

いや、ほんとうにやさしい人なのだと思う。
ありがたくベッドに撃沈させてもらう。

ここからはじまった五日間が、永遠かとも思えるほど長かった。















日曜日の午後、夫にお伺いを立ててみる。

・発熱してちょうど二十四時間たったよ。
・救急に電話して聞いてみよう。

週末はいつも混んでいて医者は不足しているとのこと。
わたしの中にも救急にかかってもまた同じだろうなという構図があった。

血液検査異常なし。
尿検査異常なし。
痛み止めの注射を打ったらハイさようなら。

じゃあ無理に連れて行ってもらうこともないか。

月曜日にの午前中には救急から出ているエコグラフィーの処方箋の予約も入っている。
それを待ってからでもいいか。

わたしはひたすらベッドにすがりつく。
右わき腹に加えて発熱のせいなのか右耳のまわりにへばりつくような偏頭痛。
空っぽの胃に薬だけが流し込まれる。

夜になって、夫がマクドナルドに買出しに行くという。
その前日は確か、宅配ピザだったか。
我が家の食糧事情はきわめて健全だ。

・何がいい?ビッグマック?
・......いらない。
・どうしてー!何か食べないとー!

いやほんとうにね、とってもやさしい人なんです。















月曜日の朝、夫に付き添われてエコグラフィー。
熱は依然としてきっちり「38度5分」を保っている。

解熱剤を飲むともちろん一時的には下がるのだけど
それはほんとうに一瞬かとも思える短い時間。

その後、熱が再上昇するときの、あの、悪寒の気持ち悪さといったら!

ゾクゾクゾグゾグ~ッゾクゾクゾグゾグ~ッ

週末の二日間、発熱と薬で、食欲は一切なく、ヨーグルトや少しのごはんを口にしただけだった。

表を歩くと頭がくらくらする。

エコグラフィーをとってすぐに夫が主治医に電話を入れてくれ、
すぐに診てもらえることになった。

待合室で待つ間ももう、つらくてつらくてしょうがない。

触診をし、「腎臓らしい」という。

そしてこれからラボで再度、採血と尿検査をするように、と。
発熱したからには今度こそ数値で出ているはずだから、と。

わたしはたまらくなっていってしまう。

・この状態であっちこっち歩かされて相当つらいんです。
入院してすべていっぺんにやってもらうことはできないんですか!

主治医がいうには「医者が患者を病院へ送り込むことはない」。
「ただし、急患診療は二十四時間体制で受け付けているのだから、そこへ行くのは自由だ」と。

へろへろになって帰宅。
もらった抗生物質を飲んでベッドにしがみつく。















処方された抗生物質がよく効いているのがわかる。

一日たつと、右わき腹の痛みが、心なしか小さくなった気さえする。
発熱のせいなのか、右耳の周りにまとわりつくような偏頭痛は相変わらず。

朝晩の二回服用する抗生物質。

眠れない夜に、
ああ、明日の朝になればもう一錠飲める。
そしたらまた少しだけ楽になるかもと思う。















九月二十六日、水曜日の朝。
ラボから尿検査の詳しい結果が届いてようやく診断名がついたと電話が入る。

pyélonéphrite ピエロネフリット/ 急性腎盂腎炎(きゅうせいじんうじんえん)















は?





なんだか、お目目ぱちくり、な感じ?

え~、ふ~ん、ほ~......そうなの?

発熱からこっちの診断としては妥当な気もするけど、なんだか見当違いに思えるのってわたしがうがちすぎなせいなのか。

じゃあさ、じゃあさ、十五日と二十一日に襲われた、あの、包丁でわき腹刺して、ぐりぐりってひっかき回されたような、あの激痛は、一体、なんだったの?

色々と思うところあっても、わたしたちのからだは小さな宇宙。
まだまだわからんことの方がたくさんあるのねきっと......。
と結局は自分を納得させている?!














・食事制限はないけど、アルコールはだめだってよ、アルコールは!


顔面に笑みをたたえて夫がのたまう。
いやほんとにね、とってもやさしい人なんです。

そんなもん、言われなくても一滴だってほしくないもんね。

わたしゃね、この十日間で決意したよ。

健康体になるよ。
長生きするよ。
孫の面倒はもちろんのこと、ひ孫の面倒だって見てやるもんね。

こんな痛い目にあうのは二度とごめんだよ......。
ふっ。
あれもプレゼントだったけどこれもプレゼントなんだよ......。




































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Commented by アトリエ夢 at 2012-09-26 22:44 x
急性ジンウジンエン?
 で、薬で治るの? なかなか入院して調べてくれないんだねえ
なんだか不安を抱えて痛みや発熱の原因もわからず家に帰されるって・・なんてこった。  それってフランス流なの? 恐いよう。
もう、楽になったの?  孫もひ孫も見るのでしょ??無理しちゃダメだよ。
Commented by tomatomatos at 2012-09-26 22:47 x
長かったね
痛みはどう?ツラいのはどう?
そんなに長い間熱があったりツラかったんだから体力落ちてるだろうから病名わかったからって無理しちゃダメよ
お薬きちんと飲んで完治させてね

Commented by pinecone_la at 2012-09-26 23:02
診断がついてよかった。
これでちゃんとした対処療法がされるね。
も~、ホントに安静にしてじっくり治してね。
よくないけど、よかったよかった。
孫やひ孫もだけど、来るべき次期丙午の年に、そこに集まりたいと思ってる人が、い~~~~っぱいいるんだから。

クスリ飲んだか~。
水分摂れよ~。
しっかり休めよ~。おいっす!

お大事に。
Commented by julia at 2012-09-27 00:35 x
私も一度なったことあります。独身の頃。
その時は腰が痛かった!
診察で先生が腰の辺りを軽く叩いただけで飛び上がりそうに痛かった。それで先生が「あー腎臓かー」と。背中や腰じゃなくて腎臓?えー?と驚きました。エコーで確定したんじゃなかったかな。抗生剤を飲んで治ったような。確かに仕事でおトイレにも行きそびれがちだったけど、ちゃんと水分を摂って、我慢してないでちゃんと出すようにとか、女性は構造上不潔になりやすいんだから清潔に気を付けるようにとか、そんな注意があったような。おかげさまでその時きりです。^^
kyotaさんもお大事にね。
Commented by at 2012-09-27 02:09 x
てことは金輪際不飲酒!?
Commented by sa55z at 2012-09-27 05:03
なんか外国の病院対応悪いですね。
なんか心配。
日本だとすぐに入院させられてしまうような気がするけど、逆なんですね、そちらは。
早のご回復を。
Commented by かこまま at 2012-09-27 08:41 x
kyotaさん、ホントに大変でしたね。
ゆっくり休んで、元気になってください。
そして、長生きしましょうね!
Commented by ほくろの魔女 at 2012-09-27 10:58 x
普段意識さえしていない臓器が、
「だいじにせんかい!おれの事!」
ってな感じで、自己主張ですかね・・・

いたわってあげてください。腎臓ちゃんも御自身も(笑)
Commented by kandamyojin at 2012-09-27 16:01 x
相手がわかったんですね。これで対処方法がはっきりと決まったわけですね。
腎臓が疲れて悲鳴を上げたのでしょう。まだ見ぬ孫やひ孫がサインを送ってくれたんだね。なにせ肝腎だからね。労わってください。とりあえず痛みと熱が和らぐことを祈っています。
Commented by kyotachan at 2012-09-27 17:57
アトリエ夢さん、
はははは!電話で病名を聞いたときの夫の反応がまさにそれでした。「ピエピエフェロフェロッ?」とかいって。あわててペン渡してちゃんとスペルを聞いてもらいました。あまり聞きなれない病名ですよね。うん、これは安静第一に、抗生物質でやっつけるしかないみたいです。飲み始めて今日で四日めですが、ずいぶん楽です。安静を理由にしばらくはご自愛しますわ。

とまとさん、
どうもありがとう~。痛み止めもね、痛い時には気にせずに飲むようにしているよ。痛いともう、何もできないからさ。抗生物質がよくあっているみたいでずいぶん楽になったよ。そうそう、完治させないとね。完治!

アネゴ、
体育会系だねあんた。水分は一日二リットルのペットボトルとやかんにゴーヤ茶を作ってそれも飲んでるよ。今まではそのほとんどがビールだったからなあ(あ、それはちょっと大げさよさすがに)。ひのえうまの年さあ、季節、いつにする?
Commented by kyotachan at 2012-09-27 19:53
julia さん、
え!そうだったんんですか!うん、なんか、子どももかかる病気なのだとか?わたしも二回目の主治医の触診のとき背中をたたかれて「キッカーン!」みたいな痛みが走りましたわ。それで抗生物質出してくれたんだけど。思わずなんでそれを最初からしないのさ?といいたくなりました。はい!水分とって清潔に、ですね!

ぐ、
ぐふふふふ。うらやましかやろもん。ん?なぬう?きのどっかってっや。このやろ。うまそうなワインぐびぐび飲みやがってー!
あ、そうそう。あのコがね、そりゃあもういい働きをしてくれて。ずーーーーーーーっとしてたから夫からは「ケムリ出てる」とか言われて。やっと洗ってあげました。感謝です。

sa55z さん、
ですよねえ?日本だったら絶対に「じゃとりあえず入院」のパターンですよね。こちらはなんでだろう?義務保険と任意保険さえあればほとんど医療費がかからないという理由か絶対的にベッド数が足りないのか理由は分からないけど医療事情は違います。すべてが専門化されててあっちへこっちへと走り回らなくてはならないのもからだがたいへんな場合は修行業そのもの。
Commented by kyotachan at 2012-09-27 20:01
かこままさん、
この痛みはほんと、人生を変えてくれるかもしれないです。高熱が三日続くと、「この病気では死なない」とわかっているくせに頭の中ではいろんなことがぐるぐるとまわりはじめて......。もう何が何でも長生きしてやるー!と思いましたよ。お互いにねー!

ほくろの魔女さん、
名まえつけましたよ。わたしの腎臓に。毎日呼びかけてご機嫌うかがい。まだまだ元気に働いてもらわないといけないですからね。腎臓あってのわたしであって、わたしがなくても腎臓はちーとも困らないわけですもんね。ほんと、いたわらないと......。

kandamyojin さん、
昨日の朝くらいから熱が下がって、もうずいぶん楽になりました。食欲はあるのになぜかうまく食べられずにまだふらふらはしていますが確実に快方に向かっているのを感じます。そっかー。孫とひ孫がこの痛みをプレゼントしてくれたんだなー。なかなかおつなプレゼントだったわ。
by kyotachan | 2012-09-26 22:12 | プチ闘病記 | Comments(12)

南仏・ニース在住。フランス人元夫の間に一男三女。

by kyotachan
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