2011年 03月 27日
reconstruire ルコンストゥルイール/ 復興する
わたしが自転車に乗れるようになったのは十歳のときだった。
自転車に乗る環境にいなかったからだが、
そういえば、キョータは自転車に乗ったことがないね、
という母親のことばのもと、自転車を買ってもらうことになった。
母親はご主人が自転車をしている友人に電話をして、
自転車を届けてもらった。
その自転車やさんはけして近所ではなかったけれど、
母親はどうせ買うなら友人のところで買いたいといい、
自転車やさんのご主人は軽トラに自転車をのせて、
一時間近くかけて届けてくださった。
ピンク色の自転車だった。
最初は補助輪をつけたほうがいいというご主人のすすめるままに
わたしは十歳にして補助輪つきの自転車にはじめて乗った。
少し慣れてきて、補助輪をはずした。
この時も確か、自転車やのご主人がはずしに来てくれたのではなかったか。
わたしはずいぶん長い間、乗れるようにならなかった。
六つ上の兄にはさんざんばかにされて、くやしくて泣いた。
何日も、いやおそらく何週間もたった。
やっと乗れるようになったわたしは、
自転車に乗っている時間が楽しくて楽しくて、
ずっと自転車に乗っていたかった。
世の中にこんなに楽しいことがあるなんて、
と大発見した気持ちになった。
あの気持ちを今は三女が感受している。
ああ、なんてすてきなんだ!
自転車に乗れるようになることは!
三月二十六日、
震災から二週間たった昨日、
仙台の友人からメールが来た。
春の高校野球が始まって、宮城県代表は全国の人から温かい拍手をもらった。
いま、わたしたちは全国の人、世界の人から助けられている。
神戸市からも温かいメッセージがあった。絶対復興する。
なんて力強いことばだろう。
絶対に復興する。
彼女がいうなら間違いない。
絶対に復興する。
友人宅は無事だったが、
まだガスは来ていない。
長女の友人も加わって女子四人のお尻が並んだ。
ちぇ!女の子がもうひとり?
不満をたれていた長男もなんとなくとけこんでいる。
un peu, beaucoup, passionnement, à la folie, pas de tout
アンプー ボックー パッショネモン アラフォリ パドゥトゥ/ 少し、たくさん、とっても、狂うほど、全然、
そういいながら花占いをしているのは長男だった。
この平和が奇跡とも思える一日。