道は険しいのだ


ダーリンは相当な日本好き。 七年間、日本にいたけれど、日本語をマスターすることは、ついにできなかった。 それでも初めて会った人にはよく、

「まーとーっても上手ですねー日本語が!」 

と言われたりする。 しかしこれ、はったり、なのだよね。 挨拶をする感じがすごく自然で、日本語がうまいんだと思われてしまうらしい。 ダーリンが日本にいた時、日帰りで名古屋に出張した。 タクシーに乗ったら、運転手さんが、かなり、おしゃべりだったらしい。 

「あ、へー、んー、あ、そうなんですかー、えー、それはすごいー」

と適当にあいづちを打っていたら、

「おっきゃくさん、日本語べらべらですねー!」

と言われたそうなのだ。 しかし本人、

「言ってること、ちーーーーっともわからなかったんだよ!」。

f0136579_19152626.jpg


最近なぜか再び、日本語熱急上昇。 雑誌まで取り寄せて、日本語学習を始めた。 ある晩、台所で片付け物をしていると、

「ね、これ、読める?」

と言ってきた。 紙に、「急行」、と鉛筆で書いてある。 「読めるよ」と答えたものの、それが、

「こんな難しい漢字、君には読めるのかい?」

なのか、

「ぼく、こんなに難しい漢字が書けるんだよ。 すごいだろう。」

なのか、迷っていると、

「これ、ね、『きゅーこー』、でしょ。 aeropot (アエロポール=空港)。 ね、そうでしょ。」

とうれしそうに言う。 はっはーん、そう来たか。 まあ、語学の道が険しいのはお互い様だもんね。 なるべく傷つけないようにそれとなく、

「 aeroport (アエロポール) は、『く う こ う』。 これは、『きゅ う こ う』。」

「・・・ え。 じゃあこれは・・・。」

とまゆをしかめて、考えている。 どうしようかと迷いながらも、つい、言ってしまう。

「express (エクスプレス)」。

「あぁーーーっ そっかー そうだよー 電車に書いてあったよー。」

それだけ言うと、さっさと去って行った。 片づけをすませて寝室に行くと、ダーリン、すでにいびき状態。 机の上には、「急行」を五回、「空港」を五回、鉛筆で書かれてある紙が・・・

語学の道は、険しいのー。
[PR]
# by kyotachan | 2007-03-22 19:25 | 六 人 家 族 | Comments(4)

マンキンダー 


ある朝登校中、長男が、

「Ah! C'est mon copain! (あ! ぼくのともだちだ!)」 

と叫んだ。 こういうことに大喜びする。 いいねーわかりやすくて。 続けて、

「Moi, je sais le nom de sa soeur. C'est... (ぼくねえ、あのこのおねえさんのなまえ、しってるよ。 それはね・・・)」

「マンキンダー!」

?!?! わ、笑っちゃいけない! と一瞬自分に言い聞かせながら 

「え、なに? なんて言うの?」

と半分ほっぺたを引きつらせながら問いただすと

「マンキンダー!」 

と再びうれしそうに繰り返す。 今度はもう思いっきりつぼにはまり、大笑い。 ええ、ええ、朝の登校時、路上でね、がははははーて、笑ってしまいましたよ。 だって、マ ン キ ン ダー 、 てこれ、かなり強烈。 幸い、そのきょうだいは、車道の反対側を歩いていたので、わたしの笑い声は届いていないはず。

名前のことでは、決して驚かない、て覚悟しているつもりだったんだけどね。 長男の友人の方の名前は 「マーボングー」。 え、マ ー ボ ン グ ー ? 最初聞いたときにはやっぱり、あまりにもなじみがなさすぎて、とまどったものだった。 ずーと以前、「ウニ」ちゃん、という女の子に会った時には、「まーすてきな名前ねー。」と口では言いながら、ウ、ウニ、かよー、て、わたしの大好物の、あのまあーったりとしたウニを、思い出したものだ。 我が家のこどもたちは四人とも日本名。 やはり覚えにくい名前、ではあるようだ。

わたしがあまりにも激しく笑ったものだから、長女が

「なになに?」

と寄ってきた。 話を聞いた彼女、え、マンキンダー? とわたしと一緒に笑った後、

「マチルダ、だよ、きっと。」

と冷静に発言する。

「え、知ってるの? マボングーのおねえさん?」

まだ笑いがおさまらなくて、ひくひくしながら聞くと、

「んー知らないけどさーたぶん。」

いやー、さすが、優等生だねー、おそらく長男は、「マチルダ」を「マンキンダー」と聞き間違えたにちがいなかった。 

あーよかったよかった、彼女の名前が「万金だー!」でなくて。 だってこんな名前、冷静に呼ぶ自信、とてもないもの。

f0136579_19132518.jpg


後日談。

今朝、そのきょうだいと一緒になり、長男がマボングーと連れ立って歩き出したので、おねちゃんに、

「ねえ、名前、なんて言うの?」 

と聞いてみた。 こんなに近くで見るのは初めて。 おぉっ なかなかの美人さん。

「マチンダー。」

一瞬、固まりそうになりながら気をとりなおし、

「ふーん、づづりは?」
「M A T I N D A 。」
「マ チ ン ダ、なんだー。」

長男の聞き間違え、そう遠くなかったんだ。 そして長女の推測はおしくもはずれ、だった。 ちなみに、お父さんはコートジボワール、お母さんはザンビア、の出身だそう。

こうして時々我が家に笑いの種をまいてくれている長男、去年の九月から韓国のテコンドー道場に通い始めた。 フランス語ではタイコンドー、と呼ばれている。 つよーいオトコに、なっておくれね。
[PR]
# by kyotachan | 2007-03-22 19:13 | 六 人 家 族 | Comments(10)


f0136579_18431942.jpg


子どもたちに人気のある 「ヴァッシュ キリ」。 おそらくずーっと昔から親しまれているクリームチーズ。 これはそのチーズに、小さなビスケットがセットされている、最近見かけるようになった、新しいバージョン。 

日曜日、近所の公園でピクニックした時、長女がこのチーズを食べながら、 

「まま、このチーズの名前、知ってる? ピック エ クロック、て言うんだよ。 うふふ。」 

と笑っている。 その音がかわいくて笑ったらしかった。 そう、 新しいバージョンにはもちろん、新しい名前が付け加えられている。 ピック (一本とって) エ(そして) クロック(ぽりぽり)、て感じかな? それで、ほんの二、三日前に気がついたことを長女に投げかける。 

「で、さ、このチーズ、『キ リ』、だけどさ、『qui rit (キリ=笑う)』、なんだよ。 知ってた?」
「え、だから、『キリ (Kiri)』、でしょ。」
「んーん、『qui rit (キリ』、笑う、の、ほら、ここ、見て。」

と、パッケージを見せたら、長女も、あーぁ、んー、と納得。 わたしもそうだったけど、「ヴァッシュ キリ」、となんとなく呼んでいたときには、「牛のキリちゃん」という意味だと思っていた。 だけど本当は、「笑う牛」、という名前のチーズだったのだ。

「ね、ね、ね、知らなかった、でしょ。 でしょ。 でしょ。」

と、いじょーなまでに喜ぶ母親を、

「べっつにぃー そんなこと、どーでもいーんじゃーん」

的な冷ややかな目で眺める長女。 ふー。 フランス語のレベルはねー、どうしたってかなうわけないのよー。 こんな時くらい、喜んでみてもいいっしょ。

f0136579_19114028.jpg


「『牛のキリちゃん』でも『笑う牛』でも、おいしければどっちでもいーです」 (三女代弁)
[PR]
# by kyotachan | 2007-03-20 19:46 | 六 人 家 族 | Comments(6)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31