九年たちました


祈る、ことを教えてくれたのは、わたしのダーリン。 


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最初は反発した。 いや、「反発した」、というような、生半可なことばではすまされないほど、いやでいやでたまらなかった。 彼が所属していた(今はもちろんわたしも所属している)、その祈りのグループのことが、嫌いだったからだ。 嫌い、というよりこれは、ほとんど「アレルギー」とも呼べるほどで、カラダ中が、脳みそが、血管が、それを拒絶しているように感じていた。 彼から、その話を聞かされた日、わたしの頭の中はまっしろ。 いや、まっくろ、だったか。 とにかく、絶体絶命。 別れよう。 別れるしかない。 と こころに強く、誓った。

わたしは、なぜ、そんな「アレルギー」を抱えていたのだろう。 今となっては不思議なくらいだ。 わたしが知っていたのは、週刊誌上で語られる、そのグループのスキャンダルの類。 それを百パーセント鵜呑みにしていた。 グループの代表者が、女性をレイプした、という記事を、うわーっ いやだーっ とまるまる信じ込んでいた。 「活字 = 真実」、おそらく、そういう思考回路ができていたんだろうな。

別れる、と強く誓ったはずなのに、別れなかった。 一緒に暮らし始めた。 彼は、祈る。 基本的に朝と晩、一日二回。 長女を妊娠して、仕事をやめたのと同時に、わたしも彼の真似をするようになった。 どうして? どうしてだろう? ただ、なんとなく。 ダーリンはただの一度もわたしに、祈ることをすすめさえしなかったのに。

不思議だねえ、祈ると、ほんとうのこと、が見えてきた。 そのグループに関する、週刊誌の記事がデマばかりであることが、だんだん分かってきた。 「刷り込み」されていたのだ。 これは効果的だねー。 デマだろうがなんだろうが、活字になって、国中にその情報が流れると、それが事実がどうか、という確認作業はされず、なーんとなくそうなんだろうなー、 てそのことを頭の中に刷り込んでいく。 脳みその中に。 血管の中に。 なんども、なんども、同じような記事を、週刊誌の見出しに載せる。 刷り込ませる。 刷り込ませる。 刷り込ませる。 刷り込ませる。 何十年にもわたって。

いまや「祈り」はわたしの生活の基本だ。 ぬかすと、変な感じ。 祈り始めた頃は言い換えれば、初めての子育てが始まった頃だ。 八王子に引っ越したばっかりで、長女を病院に連れて行くのも必死だった。 

「病院に着いたら、わたしが駐車しやすい場所が空いていますように。 長女がいい子で予防接種を受けてくれますように。」

そんなことばかりを祈っていたように思う。 今も、自分の叶えたいことを祈るのは変わらない。 でもそれと同時に、とても自然なこととして、「世界の平和」をも祈るようになった。 なんだろうね? 「世界の平和」、て。 わたしはそれは、「世界中の人々のこころの中が平和なこと」、だと思う。 「世界中の人々のこころの中が平和になる」、ためにはどうすればいいんだろう。 わたしは、「世界中の人々の中の一人」である、わたしの友人のこころが平和になるように、と祈っている。 世界の平和は、そこからしか始まらない。

祈り、を知らないまま、わたしの一生を終えてしまっていたら、と思うと、ぞーーーーっ としてしまう。 きっと、いろんなことが理解できずに、うんうん、うなって一生を送っていただろうな。 この先、わたしにどんなプレゼントをくれることがあっても、この「祈り」というプレゼントには絶対かなわないよ。 
ダーリン、人生最大のプレゼントをどうもありがとう。
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# by kyotachan | 2007-03-23 19:19 | お い の り | Comments(0)

道は険しいのだ


ダーリンは相当な日本好き。 七年間、日本にいたけれど、日本語をマスターすることは、ついにできなかった。 それでも初めて会った人にはよく、

「まーとーっても上手ですねー日本語が!」 

と言われたりする。 しかしこれ、はったり、なのだよね。 挨拶をする感じがすごく自然で、日本語がうまいんだと思われてしまうらしい。 ダーリンが日本にいた時、日帰りで名古屋に出張した。 タクシーに乗ったら、運転手さんが、かなり、おしゃべりだったらしい。 

「あ、へー、んー、あ、そうなんですかー、えー、それはすごいー」

と適当にあいづちを打っていたら、

「おっきゃくさん、日本語べらべらですねー!」

と言われたそうなのだ。 しかし本人、

「言ってること、ちーーーーっともわからなかったんだよ!」。

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最近なぜか再び、日本語熱急上昇。 雑誌まで取り寄せて、日本語学習を始めた。 ある晩、台所で片付け物をしていると、

「ね、これ、読める?」

と言ってきた。 紙に、「急行」、と鉛筆で書いてある。 「読めるよ」と答えたものの、それが、

「こんな難しい漢字、君には読めるのかい?」

なのか、

「ぼく、こんなに難しい漢字が書けるんだよ。 すごいだろう。」

なのか、迷っていると、

「これ、ね、『きゅーこー』、でしょ。 aeropot (アエロポール=空港)。 ね、そうでしょ。」

とうれしそうに言う。 はっはーん、そう来たか。 まあ、語学の道が険しいのはお互い様だもんね。 なるべく傷つけないようにそれとなく、

「 aeroport (アエロポール) は、『く う こ う』。 これは、『きゅ う こ う』。」

「・・・ え。 じゃあこれは・・・。」

とまゆをしかめて、考えている。 どうしようかと迷いながらも、つい、言ってしまう。

「express (エクスプレス)」。

「あぁーーーっ そっかー そうだよー 電車に書いてあったよー。」

それだけ言うと、さっさと去って行った。 片づけをすませて寝室に行くと、ダーリン、すでにいびき状態。 机の上には、「急行」を五回、「空港」を五回、鉛筆で書かれてある紙が・・・

語学の道は、険しいのー。
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# by kyotachan | 2007-03-22 19:25 | 六 人 家 族 | Comments(4)

マンキンダー 


ある朝登校中、長男が、

「Ah! C'est mon copain! (あ! ぼくのともだちだ!)」 

と叫んだ。 こういうことに大喜びする。 いいねーわかりやすくて。 続けて、

「Moi, je sais le nom de sa soeur. C'est... (ぼくねえ、あのこのおねえさんのなまえ、しってるよ。 それはね・・・)」

「マンキンダー!」

?!?! わ、笑っちゃいけない! と一瞬自分に言い聞かせながら 

「え、なに? なんて言うの?」

と半分ほっぺたを引きつらせながら問いただすと

「マンキンダー!」 

と再びうれしそうに繰り返す。 今度はもう思いっきりつぼにはまり、大笑い。 ええ、ええ、朝の登校時、路上でね、がははははーて、笑ってしまいましたよ。 だって、マ ン キ ン ダー 、 てこれ、かなり強烈。 幸い、そのきょうだいは、車道の反対側を歩いていたので、わたしの笑い声は届いていないはず。

名前のことでは、決して驚かない、て覚悟しているつもりだったんだけどね。 長男の友人の方の名前は 「マーボングー」。 え、マ ー ボ ン グ ー ? 最初聞いたときにはやっぱり、あまりにもなじみがなさすぎて、とまどったものだった。 ずーと以前、「ウニ」ちゃん、という女の子に会った時には、「まーすてきな名前ねー。」と口では言いながら、ウ、ウニ、かよー、て、わたしの大好物の、あのまあーったりとしたウニを、思い出したものだ。 我が家のこどもたちは四人とも日本名。 やはり覚えにくい名前、ではあるようだ。

わたしがあまりにも激しく笑ったものだから、長女が

「なになに?」

と寄ってきた。 話を聞いた彼女、え、マンキンダー? とわたしと一緒に笑った後、

「マチルダ、だよ、きっと。」

と冷静に発言する。

「え、知ってるの? マボングーのおねえさん?」

まだ笑いがおさまらなくて、ひくひくしながら聞くと、

「んー知らないけどさーたぶん。」

いやー、さすが、優等生だねー、おそらく長男は、「マチルダ」を「マンキンダー」と聞き間違えたにちがいなかった。 

あーよかったよかった、彼女の名前が「万金だー!」でなくて。 だってこんな名前、冷静に呼ぶ自信、とてもないもの。

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後日談。

今朝、そのきょうだいと一緒になり、長男がマボングーと連れ立って歩き出したので、おねちゃんに、

「ねえ、名前、なんて言うの?」 

と聞いてみた。 こんなに近くで見るのは初めて。 おぉっ なかなかの美人さん。

「マチンダー。」

一瞬、固まりそうになりながら気をとりなおし、

「ふーん、づづりは?」
「M A T I N D A 。」
「マ チ ン ダ、なんだー。」

長男の聞き間違え、そう遠くなかったんだ。 そして長女の推測はおしくもはずれ、だった。 ちなみに、お父さんはコートジボワール、お母さんはザンビア、の出身だそう。

こうして時々我が家に笑いの種をまいてくれている長男、去年の九月から韓国のテコンドー道場に通い始めた。 フランス語ではタイコンドー、と呼ばれている。 つよーいオトコに、なっておくれね。
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# by kyotachan | 2007-03-22 19:13 | 六 人 家 族 | Comments(10)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族
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