vacances バカンス

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「オハヨー!」
八百屋のお兄さんはかつて日本人のガールフレンドがいたらしい。
オハヨー、ゲンキー、オヤスミー、の三語でわたしに話しかけてくる。

「明日から一ヶ月、バカンスだよ」
「いいですねえ。楽しんで来てください」
「キミは?ニッポン?」
「いやあ、ないない。なかなか、行けなくて」
「……じゃあ、来年あたり?」
「たぶん……」

会えばバカンスの話になる。

遠出をする人は自慢気に話すし、計画のない人は「今年はニースだよ」と言う。
出かけるもよし、残るもよし、バカンスはやっぱりバカンスなのだった。



















写真は2013年。ドミニカ共和国。
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# by kyotachan | 2017-08-13 21:45 | 日 常 空 間 | Comments(0)

été エテ/ 夏

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ファッションは夏か冬か、でいえば夏のほうがだんぜん楽しい。

冬はだいたい一着か二着の上着を着回すだけ。

上着の下にしても、防寒が第一、あとはだいたい似たような格好をしてしまう。
おまけにわたしは寒がりだからそれにマフラーに帽子、手袋とアクセサリーが欠かせない。
数年前からはボディに腹巻も定番だ。

ひるがえって夏はいい。
下着の上に一枚、ワンピースをまとえば、それだけでオッケーだ。

街中の人たちのファッションを見るのも、断然冬より夏のほうが楽しい。

十代の若者から六十代、まるごとひっくるめて
まず目立つのはキャミソールで背中を見せるタイプ。プラス短パン。

誰もがスタイルがいいわけではまったくない。
むしろ若くてむちむち、老いてどこもかしこもゆるゆる、な人が多い。

胸の谷間を強調する人も多い。

わたしは「胸の谷間」とは一生縁がないせいか
そこの部分をじーっと見てしまう。おおおっ!と思ってしまう。

乳首ぎりぎりのところでゴムでとまっているタイプのものだと
アクシデントでちょっとだけ引っぱられるとボロンだな、ということまで考えてしまう。

頭の中がエロいのは男だけじゃないのだよね。

わたしがいちばん涼しいと思うワンピース姿も、もちろん多い。
上部がキャミソールタイプでミニが多いから、ほとんど下着で歩いているようなものだ。

すらりとした足もあるが、もちろんそうでない足もある。

腕が太いとか足が太いとか太っているとかやせているとか、
そんなことまーったく意に介さない。

へそだしファッションがはやったときには
TシャツとGパンの間からぜい肉がハムよろしく押し出された人が街中にあふれた。

これでいいんだ!

街中にあふれる、人の目を気にしない、自分が好きだからこれを着るの!
なファッションをみるたびに、なんだかものすごく元気をもらうから不思議。

暑い熱いとは言っても夏は短い。
思い切り楽しまないとソンなのだ。


















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# by kyotachan | 2017-08-10 01:29 | た の し い | Comments(5)

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もういつどこで購入したのかも記憶にない小さな小銭入れ。

高校時代の友人、まみたに「これ、使いやすそう」と言われた記憶があるから
もしかしたら購入したのは高校時代、佐世保の玉屋なのかもしれない。

ベネトンのマークの付いたこの小銭要れ、形はほとんど正方形で、
ボタンをはずすとぱっかりと中身が見えるから、小銭が一望できてほんとうに使いやすい。

しばらくは子どもがおつかいに行くとき専用になっていて、
おつかいを頼むときにはこれにそれこそほんとうに小銭を入れて買い物を頼んでいた。

ここ数年は小銭がたまるとメインのお財布から取り出してはここへ移動させていた。
八百屋さんやパン屋さんではこの小銭入れだけで用が足りることが多い。

最近はパン屋さんにお支払いの器械が登場して、ここへ小銭を投入するときには茶色い小銭を数えもせずに投入することもある。
余分な小銭は戻って来るし、不足分をあとで足すこともある。

あるいはスーパーマーケットでもセルフサービスのレジがあって、
小銭をここで消費することもある。

いつの間にかなくてはならない小銭入れになっていた。

それが、いつの頃からか、ボタンがあまくなってしまい、閉まらなくなった。

わたしはこの小銭入れとメインのお財布と常備の頭痛薬の入った小物いれ三つを
巾着袋に入れて一緒に持ち歩いているのだが、小銭入れの小銭が巾着袋の中にこぼれてしまっていたりする。

ずいぶん長い間、がんばってくれたからなあ。

そこでお財布の売り場を見かけるたびに同じ形の小銭入れを探し始めたのだが
これがなんとしたことか、この使いやすい便利な形のコレがまったく見つからないのだ。

ほんとうのことを言えば一度だけ、真っ黒のはあった。
黒は持ち物にしろ着るものにしろ、わたしのもっとも避けたい色だから、即あきらめた。

そして cordonnier コードニエ/ 靴の修理やさん に聞いてみることを思いついた。

一軒目では「ウチではできない。これは retouche ルトゥーッシュ/ 仕立て直しの店 で聞いてみたら」
と言われた。

retouche ルトゥーッシュ/ 仕立て直しの店 はGパンの裾上げでたまにお世話になるのだけど、あそこでやってくれるとはとても思えない。
だめもとでついでのあったときに聞いてみた。

そして、なんとなく想像していた通り、「これは cordonnier コードニエ/ 靴の修理やさん でやってくれるよ」と言う。

「そこから来たんですよ……」と言うと、
「え、その角の?」と言う。
「そこのじゃないけど」
「じゃあ、その角のに行ってみて。やってくれるよ」

確信にあふれたことばにだめもとで行ってみた。

七十歳くらいのムッシューはヒールのある靴を修理中だった。
「これをやっつけてからすぐに取り掛かるから十五分くらはかかるよ。
待つ?買い物でもしてまた戻って来る?」

待つのは苦手なのだけど、その日は近所のアジアン食材店で買い物をして
リュックはパンパンにふくらんでいたし、ちょっと座って休憩したい気分でもあった。

「待ちます」。

そしてきっかり十五分後、小銭入れはあたらしいボタンに付け替えられた。
お勘定を聞き間違えて、十二ユーロを出そうとすると、

「二ユーロだよ、二ユーロ!それで充分!」

……感動。

Merci infiniment ! メルシーアンフィニモン/ どうもありがとうございます!
ていねいにお礼を言った。



















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# by kyotachan | 2017-08-07 20:44 | 日 常 空 間 | Comments(4)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族
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