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「クレモン、今年はもうそろそろ終わりね」
マモンは夕食のあと、ワイングラスを片手に言った。

「今年はちいとも寒くないからなんだかそんな気が全くしないけど」
ジャッドは食後のデザートのチョコレートムースを食べながら言う。

「あたらしい年はどんな年になるかしら」
マモンはぼくに言うともジャッドに言うともなく言う。

「今年だって来年だって同じ日の続きでしょ?何も変わりっこないよ」
ぼくが言うと、マモンの顔がちょっときびしくなった気がした。

「そうね、クレモン。あなたの言うとおりだわ。年が変わるって言ったって、それは今日から明日になることなのよね」
マモンが言うとジャッドがそれに続いた。
「でもさ、でもさ、やっぱり、年が変わる、てちょっと違わない?だって来年わたしは十七歳になるしクレモンは十六歳になるわ」
マモンがにやりとして言う。
「わたしは五十三歳になる」

うふふ、とジャッドが笑い、ぼくも笑った。

「わたしは今年中に無駄毛の処理をするわ」
突然マモンが言うからぼくはふきだした。
「なにそれ!」

「数日前に自分のすね毛を見て、ぎょっとなっちゃった。ビーチに行かなくなるとつい無精になっちゃって。これじゃあ恋人ができないはずだわ」
「え、マモン、恋人、ほしいの」
ジャッドがびっくりした声を出す。

「う~ん。ほしい、というわけではないけど、クレモンにはサラがいるし、ジャッドにだっていつボーイフレンドができるかわからないし。わたしに恋人がいてもいいかなって思ってるだけ」

ふ~ん。
ぼくたちはしばらく黙りこんだ。

「来年は今年より少しだけいい年になればいいわ」
マモンが言う。

「たくさん、じゃなくて、少しだけなの?」
ジャッドが言うとマモンが答える。

「そう。少しだけ。毎年少しずつ、前の年よりいい年になるように。十年たてばそれがいつの間にかたくさん、になっているように」
マモンはおいしそうに赤ワインを飲み干した。(了)






















だらだらとおつきあいいただきまことにありがとうございます。

無駄毛の処理をしなくちゃいけないのはわたしでございます。

年の瀬になると「今年中に!」ということがちらほらと……。けっこーくだらないことなんですが!
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by kyotachan | 2015-12-30 17:28 | なげーやつ | Comments(0)





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今年のクルシミマス(これはもう、いいですよね)、基クリスマスは
長女と次女がテーブルのナップを探すことからその幕を開けた。

クリスマス用のオレンジのナップがどこを探しても出てこず
結局は「これ、ぜったいシミ作るよね」とずっと手を出せなかった白色のナップに決定。

そしてカナッペ用のパンをグリルしてフォアグラ、タプナッド、クリームチーズ&サーモン、タラマを順番にのせている。
あら。おしゃれ。いいわねえ。おいしそうねえ。
わたしはフォアグラの味見なんぞをしつつ眺める。

それが終わると紙ナプキンでサパンを作りはじめた。
最近はわからないことがあると電話機で検索。
なんでもさくさくと事を運ぶのがフツーのことらしい。
へーまーそー。とこれも横目で眺めつつ、わたしは手を出さない。
台所では夫が牡蠣を開けはじめた。

することのないわたしは三女同様、ぼーっとしてみる。

恒例の家族写真。
今は六人だけどこれからは減ったり増えたりするのだろうな。

子どもたちはお約束のシャンポミー(ガス入りのりんごジュース)。
大人は甘めの白ワイン。

牡蠣を食べ始めたところでわたしはオーブンにブッシュアラレーヌを投入。
牡蠣が終わる頃にいい具合に焼きあがる。
今年はモノプリのお惣菜屋さんで調達。
一種類はヴォー(子牛)、もう一種類はホタテ仕様。
どちらもおいしかった。

この日は夕方に疲労困憊して食欲もなかったわたしだったのに
食べているうちに食欲が増して、作ろうかどうしようか迷っていたムール・フリットに取り掛かる。

もちろんわたしの食欲には関係なく家族たちは食べるわけなのだけど
この日はほんとうに、作らなくてもすむ方法を頭の片すみで熱望していたのだった。

ブッシュアラレーヌで温まったままのオーブンに引き続きフリットを投入。
最近はオーブン仕様のフリットばかり。
油の始末をしないですむし、なんと言ってもその間にムールを蒸しあげることができるのが便利。

いつもだったら二パック(一パックは1.4キロ入り)たいらげる我が家だけど今日は一パックのみ。
フリットは600グラムを二回に分けて焼いた。

このあたりからわたしは台所と居間の行ったり来たりで飲んでるんだか食べてるんだか走っているんだかわからなくなってくる。
今度住むところは絶対に台所と居間がカウンターだけで仕切られているところ!と決意を新たにする。
最後にちょこっとだけ残ったフリットにやっとありつく。

子どもたちは二本目のシャンポミーを開けた。

デザートはわたしがチョコレートケーキを焼く予定だったのだけど
なにせこの日の疲れはそれを許してはくれなかった。

急遽、夫が調達してきた、超激安のブッシュドノエルはおフランスで売られいるとは思えないほどのまずさ。
ほとんど誰も食べられず。

チョコレートをつまんでお茶をにごす。

食洗機に入れられないお皿を使ったせいで、お皿洗いは夫が担当。
戦いすんで日が暮れて、わたしはぽつねんとひとり、赤ワインをすするのだった。





















大勢の親戚の方々と何度も何度も宴会を繰り返す人たちに比べるとまことにささやかな我が家のクリスマス風景。




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by kyotachan | 2015-12-26 01:22 | 六 人 家 族 | Comments(11)








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クリスマス、つーと、それが義務かのようにごちそう探しにやっきになるわたしたち。
スーパーはどこも人でごった返し。
毎年の風物詩といえば聞こえはいいが、なんだかもう、それだけでげーっそりなわたし。

牡蠣でしょ、フォアグラでしょ、サーモンでしょ、ブッシュアラレーヌでしょ、ムールフリットでしょ……デザートはブッシュドノエルでしょ、
子どもたちが復唱するそのメニューにこちらはすでにお腹いっぱい。

クリスマスつったって、普段の二倍も食べられるわけないんだからさ、
つぶやく年老いた母親に間髪いれず長女が「わたしは食べれるよ」。

ああ、そうかあ。
クリスマスの食事をこなすのには若さが必要ってことなのね。

写真はしょうがのコンフィ。
アジアの食材店で見つけて買ってみたらこれがもう、大ヒット。

そのままつまんでももちろんおいしいのだけど、
これをきざんで温かいおそばにいれるとぴりりと味がしまってほんとうにおいしい。

これとねぎをた~んまりいれた温かいスープなんかがいちばんいいわ。
とこれから開ける牡蠣を前にぽつりとつぶやく老婆がここにひとり。




















クルシミマスー!基メリークリスマスー!




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by kyotachan | 2015-12-25 00:30 | 喜 怒 哀 楽 | Comments(5)









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夕食は次女の大好きなじゃがいものローストのたくさんのった豚の塊肉のオーブン焼き(ロチ・ド・ポー)。



地味~だけどこれをやらないことには誕生日は終わらない。
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ちびたろうそく。赤いの一本で十歳、てことで。あは!

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by kyotachan | 2015-12-18 17:37 | 六 人 家 族 | Comments(6)









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今日と明日、学校へ行けばクリスマス休暇。
月のはじめから子どもたちの頭はそのことばかり。

次女の誕生日会は週末を待たずに今夜決行。
考えてみたら夕食時に家族全員が同時にそろうのは月曜日と木曜日だけ。
明日は長女、次女、夫が抜けるし週末だってどうなるかわからない。

家族六人がそろう、てことがだんだんと難しくなってきた。





















ログインしてまで投票してくださるあなた様にこころからどうもありがとう。




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by kyotachan | 2015-12-17 17:35 | 六 人 家 族 | Comments(3)









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昨日十三歳になった次女。
ティーンの仲間入り。

平日だし次女本人はダンス教室で帰りは九時近くなるからお祝いは週末に。

昨日は体育の授業がキャンセルになっていつもより早めに下校した。

近くのコスメ雑貨店で彼女の気に入る化粧品パッケージをプレゼント。
こんなことしかできなくてごめーん。

ティーンの時代ってわずか七年間なんだな。
まあ思いっきりはめをはずしーの、青春きゅーんな、そんな七年間になりますように。
腹の立つことは多いものの、できるだけそんな時期を堪能してほしいと思う。ほんとほんと。




















写真はハローウィーン当日の次女。

友人宅へ行く前のショット。


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by kyotachan | 2015-12-16 17:39 | 六 人 家 族 | Comments(3)









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朝、下ふたりを起こそうと部屋に入ると
三女が「今朝も」毛布の上に寝ている。

いつもは薄いタオルケットをかけているのだけど
今朝はそれもない。

「ソラ、ちゃんとお布団の中で寝ないと風邪ひくよ」
そう声をかけて起こす。

夕方になってふたりが学校から戻り、その時になって三女が言う。
「あのね、今朝ね、言わなかったんだけどね。あ、これはふたりだけの秘密にしてほしいんだけどね。今朝ね、おしっこしたくなって、トイレに行ってしたつもりだったんだけど、ベッドの上だったの。だからシーツがぬれて、それで毛布の上に寝てたんだよ」

悪びれた風はなく、むしろ小さないたずらを報告するような顔。

「え。……、それって、おねしょ、てこと?」

秘密の片棒をかつがされたこちらもつい小声になる。
うれしそうに笑う三女。

「十一歳で、おねしょ?」
言いながら、そういえば洗濯物にシーツが一枚、放り込んであった。そういうわけだったんだ。

「シーツ、自分でかけなさいよ」
「あとでやるー」

おねしょしても親を呼ばなくていいくらいには成長したんだな。























写真は先週の金曜日、ダンスの発表会での三女。

発表会って、自分の子どもの出番(五分~十分)だけのために三時間の地獄を過ごす。

自分の子どものへたくそなダンスには涙ぐむけど他人のダンスほど鑑賞にたえないものはないのです。
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明日は長女と次女の。あ~。これもクルシミマス・モード突入の行事。

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by kyotachan | 2015-12-15 17:36 | 六 人 家 族 | Comments(3)






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水曜日は三女のギター教室の日。
三時にお迎えに行って帰り道にあるカルフール・マーケットに寄るのがお決まりコース。

三女とふたりだけで買い物するこの日はどうしても三女に甘甘になってしまう。
食いしん坊の三女が好物のシリアルやチョコレート菓子をどんどこかごに入れていく。
わたしはちょっとにらむふりはするものの「まいっか」になる。

ヌテラを、これはわたしがかごに入れたら三女があわてて言う。
「ママ、ママ、もっとすてきな瓶のが入り口に並んでたよ。クリスマス仕様の、かわいいのが」。

まったく気がついていなかったのだけど
三女が走って持ってきたそれはスヌーピーのサンタさんバージョンだった。

こんなところからじわじわと突入するクリスマスモード。
























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by kyotachan | 2015-12-11 17:33 | 日 常 空 間 | Comments(5)









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久々の二日酔い。
ひとり飲みの翌日の二日酔いほど情けないものはない。

と、何度ひとりごちれば学ぶのか。
おえ。←軽い吐き気。
























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by kyotachan | 2015-12-09 16:57 | 吐 き 出 す | Comments(0)

péter ペテ/ おならをする








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ぷっぷぷっぷっぷっぷっぷっぷっぷ~~~っ!

何がすごいって子どもたちのおならがすごいんである。
もはや、音符を見ながら楽器を演奏しているかのようなレベル。

最初に気づいたのは次女のそれだった。
それが伝播したのかどうか、近頃は子どもたちのおならが進化(!)しているようにさえ思える。

かと思えばわたしをじぃ~っと見つめている三女に「ぶうっ」と一発、かまされたりする。
そういうときは「有毒ガスでわたしを殺す気?」と応酬する。

どういうわけなのか
女の子たちのおならは小さい音でかわいいのだけど
オトコたちのおならは大音量でおならというより「大おなら」。
こちらは鳴るたびに大ブーイングを受けるはめになる。

「おなら」という名詞は pet ぺ。
くしくも 「平和 paix ぺ」 と同じ発音。

「ぺ」が充満している我が家は「ぺ」そのもの。


























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by kyotachan | 2015-12-08 17:32 | 六 人 家 族 | Comments(4)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族