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わたしは大のビール好き

三百六十五日ビールさえあればかなりしあわせ
お茶やお水、ジュースはそれほど飲めないがビールだったら二リットルはいける(自慢してどうする)

ビールのおいしさは東京で働いていたとき
会社で一番お世話になった先輩に教えてもらった

信濃町・明治記念館の中庭の
美しすぎるほどの芝生を眺めながら飲んだビール

御茶ノ水・山の上ホテルのテラスで
流れる水を横に感じながら飲んだビール

代々木公園で飲んだビール

居酒屋のカウンターで飲んだビール

東京で飲んだビールはほんとうにおいしかった
東京という風土とビールはよくあう

ニースへ来てからはもっぱらワインになってしまった

理由は簡単でワインの方がずいぶんと安価だからだ

夏になると冷蔵庫には箱入りのロゼワインが冷やされている
ビーチに出るときはここから瓶に移し変えてクーラーボックスへ









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今年の夏は例年にないほど
つまり日本にいたときくらいにビールを飲んだ

このベルギービールに出会ったせいだ

ラガーと銘うってあるのと関係するのかどうかわからないのだが
キリンラガービールによく似た味でとてもおいしい

週末にニース郊外にある Auchan オッション というスーパーマーっケットに家族で出かけたとき
五百ミリリットル入り一缶 0.36€ ≒ 38 yen で売られていたのを見つけた

ビールといえばたいてい一缶 1€ は超えるものと思っていたわたしたちはその値段にまずビックリした

やたら安いねこれ
ふたりで言い合いおそるおそる二缶だけ買ってみたら
これがもう文句なしにおいしかったのだった

それ以来二十四缶入りをワンケース買っているのだがそれでも 8.64€ ≒ 915 yen

安ッ!








この夏は今まで押さえていた(とは思ってもいなかったのだけど)
本来のビール好きの自分が爆発してしまったようで
毎日毎日ビールばかりを飲んだ

ビールにポテトチップスにサラミソーセージ

これさえあれば無敵だ
























とか笑っていってられる年齢ではないでしょっ?そのビールッパラ一体どうするつもりっ?!
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それは、、、、、秋に向けて考えることにします(もうおそいって!)

恐れ入ります
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by kyotachan | 2010-08-31 21:14 | お い し い | Comments(28)






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今年の夏なにを楽しんだかといって夜のビーチでのピクニックより楽しんだことはない
昼間の暑さをなんとかしのいだら五時や六時頃から

夜はビーチでピクニックでもしようか

ということになる
わが家の定番はバゲット・ハム・ゆで卵・トマト・ピクルス・ポテトチップス

この日は友人家族に誘われたのでいつもよりずいぶん豪華

肉屋の店頭には必ず出ている rôti de poulet ロチドゥプレ/ ニワトリの丸焼きとスライスしてもらったサラミソーセージ
前日にゆですぎてあまっていたじゃがいもときゅうり・ソーセージをマヨネーズであわせたサラダなども









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ピクルスは小さいタッパーに
わたしは小さめサイズのピクルスが好み

午前中に友人宅でもいできたトマト
トマトはこのまま持っていってビーチで切る
塩をふりかけて食べると何個でもいけてしまう

ニワトリははさみで切り分けたらタッパーへ入れてスタンバイ









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今日行くのは villefranche ヴィーユフロンシュ

最近はどこのビーチの駐車場も有料になってその額たるやバカにできない
わたしたちは駐車料金をできるだけケチるためにビーチの上の住宅街へ駐車して階段をてくてく









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もう七時は過ぎていたはずなのにまだまだこの陽気









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知っている人も知らない人も
かるーく紹介してもらったあとは
なんとなーくごちゃごちゃーとピクニック

こういう場合人と分け合えるものを持参しつつ
自分たち用にしっかりとサンドイッチを確保しておく

子どもたちは人ん家のごはんを食べたい派(長女)と
ママの作ったサンドイッチがいい派(長男)に分かれる

次女と三女はこういう場所では極端に小食になる派(笑

わたしたち夫婦はおすそ分けしつつちょっと人のもつまみつつ
適当にロゼワインで気持ちよくなる









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夜のビーチがいいのは
太陽がほどよくやわらかくなるのと
海水が昼間の太陽で温められてとても気持ちのいいこと

ロゼで気持ちよくなったあとに海にぷかぷか
これがまたいいのだ~










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日が完全に暮れてしまうと真っ黒になるビーチ
その前にお片づけをして夜空を見ながら帰宅

今年はあと何回できるかなー夜のビーチでのピクニック





















もちろん午後三時くらいから子どもたちを四人連れてビーチに行くことも。
この場合お水を入れたペットボトルを凍らせておくのがコツ。
チョコレート菓子は厳禁。どろどろになりまする。あ、はい、なりました。
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そしてなんといってもこの夏に食べたものといえばポテトチップス。なにがなくともポテトチップス。
これほどビーチで食べておいしー!ものはない。え?わたしだけ?


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by kyotachan | 2010-08-30 19:10 | 日 常 空 間 | Comments(14)







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「10」がちょっと甘かったな










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ろうそくも十本になって吹き消すのに気合がいるね










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スーパーのセール品になっていた板チョコ(カカオ74%)で作ったガーショコラは
十才の長男には大人の味すぎたようで

これがおいしいと思うようになるまであと何年くらいかな



























いやこれは大人でもちょっと「黒すぎ?」と思うほどで。バニラアイスと食べてちょうどよかったんでした。
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ちょっとちょっとー!最近おたんじょう日の記事ふたつづつってどういうこと?いやーほんとに。すんませんです。

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by kyotachan | 2010-08-27 21:00 | 六 人 家 族 | Comments(10)






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指おり数えてみると
わたしがニースへ来てもう六年半にもなる
年数だけをみればさぞかしニース通になっていることだろうと思われても仕方がないが

到着したときわたしは三女を妊娠中で
ちょうど入国四ヶ月を過ぎた頃に出産
それからはもう上の三人の世話を含めて
とにもかくにもがむしゃらだったから

ニースの街中をゆっくり眺めることができるようになったのは
ここ一・二年のことではないかと思う

ニースはおそらくヨーロッパの観光名所として高名な場所なのだろう
特に七月・八月の二ヶ月間のニースは
それこそひとことで

c'est fou ! セフー/ 狂ってる!

としか言いようがないあるいは

c'est de la folie ! セドゥラフォリ












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七月にフランスの学校がバカンスに突入するちょっと前くらいから
ちらほらと観光客らしい人たちを街中で見かけるようになる

真っ白な肌のおそらく北ヨーロッパ辺りから来たのかなと思える人たちが多い
一様にタンクトップにショートパンツでサングラスというスタイル
日照時間の少ない国からやってきた人たちはカラダにできるだけ太陽をあてておきたいのだろう

七月も中盤になるとニースにもいよいよ観光客があふれかえる

今年の夏に特に目に付いたのが
真っ黒の大きすぎるくらいのカメラに
これまたそれは間違いなのじゃないかとつっこみたくなるくらい
長いレンズをつけて首から下げている人たちだ

定年近いと思われる男性からまだ十代なのでは?と思う若い女性まで
それはそれはりっぱなカメラを所持していらっしゃる
おそらくは地球住民のほとんどが自称カメラマンと化する日は遠くはないようだ
そしてそれはインターネットの普及とけして関係なくはないのだろう











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去年まではマセナ広場からすぐのビーチへ歩いて行っていたのだが
あまりにも過熱な場所取り合戦にウンザリして今年は少し遠くのビーチへよく行った
といっても子どもたち四人とぶらぶら歩いてせいぜい三十分くらいのところだ

途中でニース駅の前を通りかかると
わたしの小指ほどにも痩せている日本人女性がふたり
ケバッブというトルコのサンドイッチをほおばり

おいっしーい!

と金きり声を上げている
妙にしらけた気分になって歩き続けると
まだ一才にもならない子どもを連れた女性が
地面に座り込んで物乞いをしている

マッダーム!シルヴプレー!デ・スー!(マダム!お願いします!お金を!)

おそれくそれが彼女の知っている唯一のフランス語
すれ違う人々の言語がフランス語であることはむしろめずらしいくらい
この時期のニースはさまざまな言語で飽和状態にまで達してしまっている











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見てくれだけがすべての
ちいとも愛し合ってなどいないと一目でわかるカップルが
吐き気のするくらいのきめこんだスタイルで腰を振りながら歩いている

野球帽をかぶったパパが汗をながしながら赤ちゃんを抱っこして早足で通り過ぎる
後から空のベビーカーを押すママが
何もそんなに急がなくても
という顔をして上の子らしい五才くらいの子の手を引いてのんびりとついて行く

大きなリュックをしょった青年が
トラムの切符の買い方を
英語なまりの強いフランス語でとなりにいた婦人に聞いている

リュックにはマットもくくりつけられているから
おそらく自分が貧乏旅行をしていることを
周りにアピールしているつもりなのだろうが

リュックをはじめてとして
なにもかもが新品で輝いていて
どこかの国のぼんぼんが
若い時に貧乏旅行を経験しておくに限ると諭されて
一念発起してやってきたのだろうなあと笑えてくる












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ビーチのそばでは若い男が自転車にまたがり
若い女性のグループを見つめている
今日はあのあたりをねらってみようか
そんなことをつぶやいてもいるように

どんなに善良で健全な人でも悪いことをしたくなる
あるいはどんな悪人でもちょっといいことをしたくなってしまう

善人の悪性と
悪人の善性が

ニースの青い海と広い空の下で
渦をまくようにぐるぐるとかき回されて
人々は人生の中でほんのちょっとの短い時間の狂った時間を過ごす

夏のニースにはそんな力があるように思える

ニースなんだもの
夏だもの
熱(暑)いんだもの

バカンスなんだもの












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しかしもしかしたらこの時期に狂ってしまうのは
観光客よりもむしろ地元の住民の方かもしれない

何しろどこへ行っても人であふれているのだ

まずいうまいは関係なく
カフェ・ブラッスリー・レストランは人で埋め尽くされている

通りで立ち話している男性は
かなり酩酊状態にあるらしい

何かを得意気にそれも相手を責める口調で
ろれつの回らない
そのためにやけにまのびして聞こえるフランス語で大声を張り上げている

話し相手をしていたバイクにまたがった男性は
それを我慢強く聞いてあげているように見えたのだが
いきなりその酔った男性をバイクのヘルメットで殴りつける

殴られた男性は突然逃げ出す
それまで話していたことはすべて間違いでしたすみませんとでも言いたげな後姿で

窓からは人のやじが飛び交う

殴りつけた男性の方はバイクに乗って行ってしまった

続くやじ
叫び声

c'est de la folie ! セドゥラフォリ/ 狂ってる!












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アジアの一番東にあって
地球儀で探そうとして何度もぐるぐる回しても
どうしても見落としてしまいそうになるほどの小さい島の

その島の中でもずっとずっと南の方にある小さい街の
これまた街の中でもとりわけへき地化の進んだ地域で育ったわたしは

ニースという人を狂人にしてしまう力のある
不思議でそれでいてとてつもない魅力的な
この街の中を四人の子どもたちを連れて
どこへでも歩いていく

わたしが車の運転をするようになってから
子どもたちは横着になって
すぐに車で出かけようと言い出すが
夫抜きの遊びのお出かけには
できるだけ歩いていけるところに行こうと決めている

わっちゃー!

と思わず声の出てしまうような場面に出くわしても
わたしはあえて子どもたちには何も言わない
子どもたちもたいてい黙ってそこを通り過ぎる

大腿部から両脚のない人が車椅子に乗って物乞いをしている場所で
六才の三女は足を止めてその人をにらみつけるようにし
なかなか前に進もうとしなかった

その人はものすごくよごれていた
もともとの肌の色が黒いのかよごれて黒くなったのかわからないが
肌も黒くTシャツも黒くズボンも真っ黒で乗っている車椅子も黒かった

三女はなにを思ったのか
わたしは聞くことができなかった

いや正直にいえば
三女にこの話題をふるのが恐かったのだ
三女に聞かれたらどうしようと思ってしまったのだ

どうしてあの人は脚がないの?
どうしてあの人はあんなによごれているの?
どうしてあの人は物乞いをしているの?

わたしはわたしが六才のときにはけして見ることのなかった光景を
三女は日常茶飯事的に見ている

わたしにはわたしの人生があり
三女には三女の人生があるというただそれだけのこと
わたしはそんな風にしか処理できない













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ニースの海は美しい

わたしたちは狂っていようがいまいが
ざばんざばんと高い音をたてるニースの海の
高くて激しい波に
ただただ飲み込まれて流されている

ニースのバカンスシーズンもようやく終盤戦
狂った夏ももうすぐ終わるだろう



























まあー!キョータちゃんたらよかったわねー!だってあなた一年中狂ってるでしょ?
ってあーた!そんなこといってるのどこのだーれー?
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季節のはじまりとおわり。春の来ない冬はないように秋の来ない夏もない。なーんてね。

恐れ入ります
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by kyotachan | 2010-08-26 23:20 | 喜 怒 哀 楽 | Comments(26)







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昨日ビーチからの帰り道





・ ママ、ボク明日たんじょう日だ

・ そうだね
 あ、てことはさ、今日は九才最後の日だね
 九才でなくなるのが悲しい?それともむしろ十才になるのがうれしい?


・ そりゃあ十才になることがうれしいよ
 だってさ二桁だもん


・ ほんとだねー!はじめての二桁だねー!
 カゼって生まれてからもう十年もたつんだね
 どう?ここまで長かった?それとも短かった?


・ ...............長かったか短かったかわからないけど
 きょう一日だけだったらすんごい短かった






十才になろうとしているキミに
生まれてから今までの時間が長かった短かったかなんて難しい質問だったかもね










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十年前の今日自宅で生まれた長男は翌日に三十九度の熱を出して
助産婦さんと救急隊員さんの判断で病院へ搬送された
敗血症という診断で十日間の入院

退院時には施された治療で病気はすべて軽快
つまりこの病気の影響が今後の人生の及ぼす可能性はゼロといわれて
どれだけほっとしたことか

二才四ヶ月で喘息を発症

とにもかくにも寝ても覚めても夜泣き
という赤ちゃんだったから
喘息と診断名がついたことで
ああ寝ると息が苦しかったのかなあと
夜泣きの理由を勝手に解釈した

ハイハイするようなったと思ったら
便器のお水で顔を洗ったり
植木の土を味見した上に部屋にばらまいたり

まだ歩くこともできないのに
果敢に滑り台のはしごをのぼって
ほっとしていたら
すべるときにバランスをくずして頭から落っこちたりした

わたしは長男が持った長い長い棒の先にくくりつけられた哀れな母親で
長男は自分の思いのままにその棒をあっちにこっちにと振り回した

二年先に生まれた長女とはあまりにも違いすぎるその行動力に
というかこちらが想像もできないとっぴな行動に

ああ

お願いします

どうかどうかわたしより先に死ぬようななことだけは
それだけはやめてくださいね

わたしを振り回すのはかまわないから
どうかどうかせめてわたしよりは一日だけでも
長く生きてくださいよ

そうこころでつぶやくようになった








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三人の女きょうだいに囲まれた一匹おおかみで
なにかと甘やかされて育っているなあ

まったく口ばかり達者になって
腹立つことこの上ない!

と思うけれど
それでもまあ

わたしの足の間から生まれてきたにしては上等上等

よく学びよく遊んで
またこの先十年も
元気に生き延びてってくださいよ








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それにしてもこのやくざのような格好
これがこの夏の彼のスタンダードスタイル

二枚もっているボタンつきのシャツを
かわり番こに着ているのだが

必ずボタンは全開
ショートパンツはずらして下着を見せている

ああもう
もうちょっと少年らしい健全な格好はできんのかい!








という小言は今日はぐっと飲み込むことにしよう

十才のたんじょう日おめでとう!

二桁うれしいねわたしもとってもうれしいよ ふ・た・け・た!






















今日は長女の仲良しのお誕生日でもあって毎年長女はそちらのお誕生日会へ。
今日はビーチでするそうで家族みんなでどうぞといわれているけれどどうするかまだ未決定状態。
そちらに行くなら長男用のケーキやご馳走は明日に回すことになるし、、、ああ、、。
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ま、どっちに転んでもいいようにするだけさ。

恐れ入ります
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by kyotachan | 2010-08-25 21:12 | 六 人 家 族 | Comments(30)







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ごましおおにぎり
























、、、、という発想はもちろんニッポンザルのわたくしにしかありません。
ちょっとさ、食べるまねしてみてよ。という母親にいや~な顔をしている三女。ち!おいしそう~じゃ~ん。ねえ?
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ニースもまだまだあつーござんす。ビーチは依然としてツーリストでごったがえし。場所の取り合い合戦やっとります。ふう。

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by kyotachan | 2010-08-24 20:28 | 日 常 空 間 | Comments(4)

langue ラング/ ことば







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わたしがはじめて使った英語の教科書は Horizon で
最初のページには

This is a pen.

とあった
挿絵はテーブルにのったペンが一本

わたしの記憶に間違いがなければ
その次の行は

That is a pencil.

ページをめくると
世界地図の挿絵があり

This is Japan.
That is America.

次ページはガイジンの男の子と女の子の絵で

This is Mike.
That is Nancy.

だった

わたしは Horizon という名まえの
真っ赤な夕焼けが海に沈もうとしている写真が表紙のこの真新しい教科書を
市内では有名な英語塾・辻塾の教室の一室で開いた

辻先生は佐世保にある米軍基地で通訳の仕事をしていたらしいのだが
自分の意見を一切はさめない通訳という職業に嫌気がさし
家でぶらぶらしていたら近所の中学生から英語を教えてくれと頼まれのをきっかけに
英語塾を経営するようになったという人だった

「これはペンです」

これが最初の文の日本語訳だ

と辻先生は言った

これを「これは一本のペンです」と訳すやつがいるがこれは正しくない
この挿絵を見てみろ
テーブルに一本ペンがのってるとき俺たち日本人はは絶対に「これは一本のペンです」とは言わない
「これはペンです」というはずだ

日本語では数のことを問題にしない

英語では常にそれが一本か二本以上なのかはっきりと言う
英語と日本語ではそこが徹底的に違う

最初の授業はそんな風にはじまった

わたしは国語も好きだったが
この日から国語ではないもうひとつのことばに夢中になった

そして英語を学ぶことははらからずも
日本語がどういうことばなのかを再発見することでもあった

あの頃は街中で米軍兵士を見つけたら
おくせずに話しかけては
自分の名まえや年齢を英語で言い
キミは英語が上手だねといわれて悦に入っていた

フランスへ来て
英語を話せるかと聞かれると

ええまあ

などと答えるのだが
実際に話そうとすると全く口が動かなくてあせってしまう
わたしはいつの間にか英語を話せなくなってしまったらしい

だってフランス語で生活しているから
と言い訳したいところだが
同じ日本人でもフランス語・英語をきちんと話す人はめずらしくない

わたしはたまに
フランス人の十人くらいのグループの中で
自分の意見を言う
という状況に恵まれるのだけれど

脳内では日本語であんなことを言おうこんなことを言おうと考えているのだが
それを実際にフランス語で話すと言いたかったことが全く伝わらないということがよく起きる

それは日本語と英語の性格や性質や仕組みが全く違うのと同じように
日本語とフランス語も全くちがうことばだからだという気がする

たとえば「秋が深まる」という日本語を英訳するとき
英語では「秋は深まらない」といわれたことがあった

それと同じようなことが頻繁に起きているのだろう

実はつい先日
言いたいことがうまく言えなくて
ったくあんたって何年フランス語やってんのよと自分を毒づきひどく落ち込んだ

ひとしきり落ち込んだら
ことばってほんとうはとてもいいものなのよねというところへ思いが行き
そしたら辻先生のことを思い出したのだった

わたしは今もことばのことで行き詰ると辻先生のことを思い出す
わたしにことばのもつ楽しさを教えてくれた大恩人だ

わたしはもっとことば
それは日本でも英語でもフランス語でもそうなのだけれど
ことばを使う訓練をしなくてはいけない

こんなにことばが好きなのだもの










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中学の三年生になってもうすぐ卒業という頃辻先生が
ひとつだけおまえたちにいっておきたいことがある
と言った

オトコのこととかオンナのこととかで
死ぬようなことだけはするな
代わりはほかにいくらでもおるから


むかしの教え子だった人が
恋人にふられて自殺したことがあり
それが無念でならないらしかった

よかか?わかったか?
忘れるなよ?
オトコとかオンナの代わりはいくらでもおるっちゃけん
よかな?

辻先生はそうやって何度も念を押した

週に二回二時間の授業で英語を教えてもらった三年間に
わたしは英語以外のもっともっと大切なことをたくさん教えてもらった気がしている

わたしは学校の先生には好かれることがなかったのに
辻先生にだけはわたしのことを好いてくれた

一年浪人して大学に合格した年の春休み
辻先生のお宅にあいさつへ行った

大学を卒業したらウチにおいで
このへんで働くにしたらかなりいいお給料のはずだよ

辻先生は本気らしい大真面目な顔で言った










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大学一年の時
母親から電話がかかってきて
辻先生が亡くなったよと聞かされた

え"ー!うっぞー!

わたしは電話口で叫んだ

わたしが中学生のころからお昼にはビールを一本空けるのが習慣なのだと聞いてはいた
もうずいぶん長い間肝臓を悪くされていたらしい

明日お葬式らしかけどどぎゃんするね帰って来るね

母親に沈んだ声で聞かれてわたしは
明日から試験やけん帰られん
と答えた

そして電話を切ったあと
のた打ち回って泣いた

あの時こうしていれば

と思うことは星の数ほどあるけれど
辻先生のお葬式にどうして帰らなかったのだろうと今でも思う
大学の定期試験を一度だけ棄権したからといってそれがどれほどの悲劇だっただろう

辻先生の家は長い坂を登りきった坂の上に立っていた

お葬式の日は雨で
その長い坂が色とりどりの傘で埋め尽くされたと
ずっとあとになって母から聞いた
























先生に好かれたことのないキョータってどれほどの悪人なわけ?、、、、それほどですよ。
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なんと一週間以上もネット・テレビ・電話が不通に。陸の孤島そのものの生活でございました。
いや~それはそれで結構過ごしやすくもあったんですが。
それにしてもフランスって国は、、、と思った一件ではございました。


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by kyotachan | 2010-08-24 00:05 | Comments(34)







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子どもの集まる場所のイベントには必ずといっていいほど登場する maquillage マキヤージュ/ お化粧
お化粧というよりメーキャップ?
メーキャップというよりフェイス・ペイント?
日本語でなんと呼ばれているかわらないんですが








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このイベントはたいてい子どもたちに大人気で
どこでもこうして行列を作ってお化粧してもらう子どもたちで大賑わい

お化粧のレベルはその時の主催者側でマチマチですが
今回は毎夜スペクタクルが催されていたことからも
おそらく現役の劇団員さんたちがしてくれたらしく
なかなか手の込んだお化粧が多かったようで








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どーお?








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くー!かわいい!

























道具は水性絵の具なので水で簡単に落とせます。
とはいってもまだまだお顔だけを洗うことが下手な年齢なのでシャワーで洗い流してあげました。
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ネコの三女は顔が相当かゆかったようです。笑
長女と長男もすると思っていたらふたりとももう興味がないようで、、、ザンネン!


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by kyotachan | 2010-08-13 19:06 | les menuire 2010 | Comments(18)







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家の中でも靴をぬがない
という生活はある種のあこがれだったと思う

たとえば映画の中で
かっこいい少年が
泥のついたスニーカーをはいたまま
ベッドにごろんと寝転んで雑誌を読んでいる
なんていうシーンを見ると

ああなんてかっちょいいんやー!

と思っていた

しかしそれは憧れの気持ちで見ているからかっちょいいのであって
それが現実となったら
これはもう百八十度話は違ってくる

わたしたちがニースで暮らすようになったのは
かれこれもう七年近くも前のことになる

次女がまだ一才のお誕生日を迎えておらず
わたしは三女を妊娠中だった

わたしたちが二軒目に借りたアパートは
床が黒色でごつごつした石を使ってあった

まだハイハイをしていた次女は
そのアパートではいつも真っ黒だった

丹念に掃除機をかけて
モップで水ふきをしても
どうしてもきれいにならない床だった

真っ黒に汚れた次女が
そのままベッドにはい上がって来るとき
わたしは言いようのない嫌悪感に包まれた

次女が真っ黒になるのをどうしようもない現実と
真っ黒になった次女がその真っ黒いままベッドに乗ろうとしているのを見て
お願いだからそれだけはやめてくれと自分のエゴが叫んでいたのだった

ニースの街中には
いたるところに犬の落し物が落ちている

それをよけながら歩いていても
そのよけた場所にもかつては落ちていた可能性はものすごく高い
つまりわたしたちはかつて犬の糞があっただろう場所を踏んで歩いている

わたしたちは家族の間でいいあわせたわけでもなんでもなく
家の中へ入れば自然と靴をぬぐ

それは汚い道路を歩いてきたからとか
犬の糞がどうのこうのという前に
ただ習慣でそうしてしまうというところが大きいと思う

わたしたちは靴を脱いだ方がリラックスできるのだ

わたしたち家族はそれで納得しているとしても
わたしたち以外の人たちにそれをわかってもらうのは簡単ではない

今のアパートに入ったとき
わたしたちはスーパーでたまたま室内スリッパの安売りにであった
こちらではいわゆる日本でよく見かける室内スリッパはあまり見かけないものなのだ
わたしたちは「これはもう買うしかない」という思いで二十足ばかり買い求めた
それをかごの中に入れた

「土足厳禁」のプレートも掲げた

わが家に来る人たちはスリッパが山盛りになったかごと
その横に掲げてあるプレートを見てこちらの意思を察してくれるという算段だ

実はここまで手の込んだことをしていても
こちらの趣旨をまるで理解できない人もいる

プレートはまるで目に入らないし
スリッパの意味も皆目見当もつかないという人が








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わたしは大学一年生の時
文化人類学の授業で
ルース・ベネディクト著「菊と刀」
という本を読んだ

内容はあらかた忘れてしまったが
今でもどうしても忘れられない箇所がある

それはドイツ人(だったと思う)に「靴をぬげ」ということは
日本人に「帯をとけ」というのを同じことである

というくだりだ
ドイツ人でもフランス人でも室内でも靴を脱がない習慣は同じだろう

つまりわたしはこの状況になるといつも胸を痛めるのだ

わたしが友人たちに

わが家には靴をぬいで入ってほしい

ということはつまり彼らにとって

わが家には帯をといて入ってほしい

ということをお願いしているに等しいのだと
そのくらいたいへんなことをお願いしているのだと

それは承知していたのだけれど
最初のころはそれでもあえて
ここでは靴をぬいでほしいのだと
来る人ひとりひとりにお願いしていた

三女がまだ小さかったこともその理由のひとつだと思う

ここへ越してきて五年以上がたった今はどうかというと
それほど厳しく言えなくなっている自分に気づく

わが家に入ってもらうのに
わざわざお願いしてまで靴を脱いでもらうのは(つまり帯をといてもらうのは)
とんでもないごうまんな行為なのじゃないかという気がし始めているのだ

ここでは脱ぐことになっている
とすでに承知済みの顔ですぐに靴を脱いでくれる人にはありがたくそうしてもらうが
あえてこちらからお願いしてそうしてもらうことはだんだんと少なくなってきたと思う

スリッパもずいぶんくたびれてきて
まさかわざわざこれをはいてほしいとは言いにくくなってきたのもある

またわたしたち自身が
時間が迫ってきているときにトイレに行きたくなり
靴をはいたままトイレに駆け込むということがなくはない
という状況もある

そして家の中へ入る前
ドアの外に置かれた靴ふきマットで
丹念に靴底をふいてから家の中へ入るようになった

わたしの周りのフランス人は
家の中へ入ると室内履きに履き替える人よりはあまりいない

遊びに行ったその先の住人が
コンバースの紐もしっかり結んでふかふかのじゅうたんを踏んでいたりする

こういう場面にはこちらの方が居心地悪い気がしてしまうが
土足が当たり前の家ではこちらももちろん靴を脱がない

しかしわが家の子どもたちは「家に入ったら靴を脱ぐ」のが習慣になっているから
その手のつまり靴を脱がない家に行っても何も考えずにすぐに脱いでしまい
靴下なり素足なりを真っ黒にさせてしまう

子どもたちにとってみたら室内では靴を脱いだ方がリラックスできるからそうしているだけのことで
ここでは脱がないでとわざわざ断るのもどうもヘンな感じがして困ってしまう

ガイコクの習慣とどう付き合っていくかは
つきつめればまさに
自分はどう生きていくか
という問題なのだと思う

わたしはわたし自身が靴問題にはっきりと結論を出したかどうかは
正直いってまだよくわからないのだけれど

ひとつだけはっきりといえるのは
日本の家は「靴を脱いで入る」というその一点だけで
とても清潔だなあとしみじみ思うことだ

今日本に住んでいる方で
ああわたしの家はどうしてこうも散らかっていて汚いんだろうと思っている方
だいじょうぶ!
あなたがどんなに汚れていると思っているとしても
玄関で靴を脱いでいるというその一点において
あなたの家は充分に清潔に保たれているに違いないのですから

























こちらのお宅でも「靴」問題で悩んでおられるようで。
テキストはもちろんのことキュートな写真を堪能されたらぜひコメント欄にも目を通してほしい。
おそるべしニッポン魂。こんな人もいるのね~と大笑いさせてもらいました。
ガイコク居住者の方々にはぜひごらんになっていただきたい記事です。
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わが家には靴箱がありますが、そんなものない家も多いのです。ではどこに?

それはね

洋服ダンスの中

なのです。
靴は「お洋服」扱い。だってほら、帯だから。


恐れ入ります
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by kyotachan | 2010-08-11 22:25 | 喜 怒 哀 楽 | Comments(18)

brouillard ブルイヤー/ 霧







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こんな霧の日も








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霧の中を進むと牛が

ちょうど

うんち中

わたしの一週間分はあった(聞いてない聞いてない)








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こっちの牛は

ちょうど

おしっこ中

わたしの二週間分はあった(だから聞いてないってば)








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長男が

この石 ardoise アードワーズ/ 黒板みたいにチョークで字が書ける石 だよ

と何個かお持ち帰り










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移動はスキーリフトで

わが家で一番のこわがりはなんとこの長女

後ろにどどーんって倒れそう~










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一寸先は闇!






























山の天気は変わりやすいといいますが本当に晴れたり曇ったり。暑くなったり寒くなったり。
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太陽がさすと皆いっせいにタンクトップ。寒くなるとオーバーコート。臨機応変!

恐れ入ります
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by kyotachan | 2010-08-11 18:30 | les menuire 2010 | Comments(2)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族