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『 常 識 』 考


わたしは大学を卒業後、東京にある会社で、長女を妊娠するまでの約八年間、働いていたことがある。 いわゆる、一般職。 紺色の制服だった。 水処理器械のメーカーで、資本の半分はフランスの会社が持っていた。 まだバブルのはじける前で、わたしはその会社で 『初めて採用する四大新卒の女子社員』。 短大卒の女子社員はいたかもしれないし、四大卒でも、途中採用された女子社員はいたかもしれない。 『新卒』 であることで、ずいぶん、甘やかされる立場にあったな、と今にして思う。 
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ひとりの女性社員の先輩にかわいがられた。 その先輩が、ちょうど一年後に結婚退職をした。 先輩のあとに入った女子社員とわたし、営業部長さんと、その部下、の四人で退社後、飲みに行ったことがある。 わたしは辞めてしまっていた先輩に、『五時のチャイムが鳴ったら、早々に退社してよろしい』 と教えられていたので、会社の人と飲みに行くのは、珍しいことだった。
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行った先は、会社そばの日本小料理屋。 会社は上野よりの御茶ノ水にあり、居酒屋というよりむしろ小料理屋と呼ぶにふさわしいお店が多くある
界隈だった。 わたしたちは、カウンターに座った。 

日本酒を飲みながら、営業部長さん、しみじみ、という感じで言い放った。

しっかしさあ、kyotachan さん、てのは、世間を知らなすぎるよなあ。 だいたい常識、てもんがないんだよ。
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それを聞いたわたし、カーーーーッ となった。 
?!?! どういうことですか? わたしのどこが世間知らず、なんですか? 常識がない、て、なにがどうないのか、具体的に説明してください!
つっかかった。 腹が立ってしょうがなかった。 こころの中では、『コノヤローッ』 てね。

当時のわたしは、おそらく、それがたとえ九州の片田舎だったとしても、まじめな両親に育てられ、東京の四年制の大学、つまりは日本教育の最高学府まで無理をして行かせてもらい、またこうして就職まで果たし、毎日会社に通って来ている。 一応まじめに勤労しているではないか。 わたしのどこが世間知らずで、わたしのどこが常識がないというのか? と思っていたのだろう。
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会社の中や、友人たち、わたしはとにかく、思いつくあらゆる人たちに、この話を聞いてもらった。 
傷ついていたのだ。 二十歳そこそこの、わたしのこころは、ずたずたに、傷ついていたのだよ。
いろんな人に、いろんなことを言ってもらったが、それらは、わたしに好意的なものばかりだった。 まあ、そういう人を選んで話していたのかもしれない。 おそらくそうやって、自分をいやしていたのだろう。

「あはははは~。 そんなこと言われちゃったの? まあねえ、あの人は、裏側の世界を生きてきた人だからねえ。 いいんじゃない? そういう常識なんて、知らない方が。」 (営業部長にいちばん近い部下弁)
「ぼくは、kyotachan さんが、常識のない人だとは決して思わないよ。 むしろ、常識的だと思うけどね。」 (総務部長さん弁)
「まあ、常識、つったって、ひとそれぞれ違うもんだからね。」 (gidigudi 弁)
「kyotachan がそんなこと気にするなんて思わなかったー。 そんなこと気にしないのがkyotachan らしいのにー。」 (高校時代の友人弁)
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母親に電話した時の、彼女のセリフがふるっていた。 その話を聞いた母親は、一瞬間をおいてから、

そうねえー。 常識がない、て言われたのお。 まあ、そう、そうねえ、そう言われれば、ウチのお父さんだって、ま ー っ た く 常 識 の な い 人 、 だからねえ。

お おょ ?

え? な、なに? とうちゃんて、じょ、常識、なかわけ?

う ー ん 。 じ ょ う し き 、 あ ら っ さ ん 、 ね え。

この時の感情を、どう言えばいいのだろう。 強力な助っ人を得た、という気持ちと、ああ、だめだこりゃ、という、気持ち。 常識のない父親を持っている、と、母親に言われれば、父と母は、わたしの味方に違いなかろう。 しかし、それにしたって、それでは、母親に、

おまえに常識がないのは、当然。

と言われたようなものでもあったのだから。
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この日から、十八年? たったのだねえ。 今でもことあるごとに、思い出す。 ああ、ありがたいなあ。 うんしょこら、どっこいしょ、的にでも、毎日どうにか、会社に通った甲斐があるなあ。 そうひとりごちたりする。 

しっかしさあ、kyotachan さん、てのは、世間を知らなすぎるよなあ。 だいたい常識、てもんがないんだよ。

こう言ってもらったことが、である。 いまならはっきりとわかる。 わたしは当時、ほんとうに世間を知らなすぎたし、あまりにも常識がなさすぎた。 いまだって、あの日から、どれくらい進歩したかあやしいもんである。 だけど、いまは、そのことを、肝に命じることができるのだ。 おまえはなー、世間知らずなんだから。 ね、気をつけなさいよ。 常識、ないんだからね。 と自分に言い聞かせることができるのだ。 また、この発言主の営業部長さんは、わたしをたいへんにかわいがってくれたひとりでもあった。

kyotachan さんはいいねえ。 いつも初々しくて。」 (これはおそらく、「成長しないね」、の裏返し。 当時は気がつかなかったけど。)
kyotachan さんって、ほんっとーに、けれんみがないよね。

そういう、忘れられないことばをかけてくれたのも、営業部長さんだった。
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あの日、深く傷ついたわたしに、「どう常識がないのか、具体的に説明して」、と迫られた営業部長さん、なんと答えたか? かなり、しどろもどろに、

kyotachan さん、このお店に入ってから、一度もぼくの部下にお酌してないでしょう。 そういうことだよ。

ひ ひょ? なーんか、どうでもいいことだったのねー。 ふう。 『 常 識 』 て 一 体、 な に?
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by kyotachan | 2007-05-30 22:29 | 吐 き 出 す | Comments(9)


今朝のニースローカル紙。 ほえ? ここにいるのは、日本人かいな。
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よーく、見てみましたら ・・・・・
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by kyotachan | 2007-05-30 20:53 | 非 日 常 事 | Comments(6)

やさしい時間


およばれ、続いております。 今日もプチ田舎。 ウチから約三十分。
『こんにちはー。 おじゃましまーす。』
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ウチとおなじ、日仏カップルのお宅です ・・・・・
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by kyotachan | 2007-05-30 02:07 | 非 日 常 事 | Comments(2)


『おーい! 洗濯物 終ったよー! こっちおいでー!』
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ぜーんぜん、聞こえていない様子 ・・・・・
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by kyotachan | 2007-05-29 21:36 | 六 人 家 族 | Comments(0)

カントリーライフ


わたしたちが住んでいるのは、ニース駅のそば。 まあ、ニースの中心とも言える場所。 そこから、二、三十分も車で行くと、もうあっという間に、
すーんごい、田舎。 
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今日は、ミッシェルのお宅にやってきました ・・・・・
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by kyotachan | 2007-05-28 21:47 | 非 日 常 事 | Comments(2)

食器洗い機


この世に 『食器洗い機』 なるものが存在することを知ったのは小学生の頃。 

え?! 食器洗い機? お皿、割れないの?

洗濯機の中で、お皿ががちゃがちゃ、回っているのを想像していた。 三十七歳まで日本にいたけど、ついにその 『食器洗い機』 を台所に置く日は来なかった。
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ニースに来たら、それがあまりにもスタンダードな電化製品だったので、なんの議論もされず、購入された。 台所に、それを置くスペースが確保されていたからかもしれない。

日本で普及しないのは、『おちゃわん』 のせいだと思う。 フランスは、『お皿』 の国。 平らで、器械でも洗いやすい。 わたしはこうして、おちゃわん類も、つめこむ。 洗えていない時もある。 そうすると、あきらめて手洗い。

長年悩まされていた手あれ、これでずいぶん楽になりました。 
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by kyotachan | 2007-05-27 05:44 | 日 常 空 間 | Comments(2)

ワインのもと


シリーズ化している(ええ、ええ、ひとりでね、勝手にね)、この、超拡大物体。 きょうは、むらさき。 えへへ、ぜーんぜん、おもしろくないね。 
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いやあー、あーんまし、おしかったもんだから ・・・・・
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by kyotachan | 2007-05-27 03:53 | お い し い | Comments(0)

トロ!トロ!トロ!


季節になりましたねー。 ぞくぞくと、見かけます。 マグロですわよ、 オ ク サ マ !
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えぐりとられた、マグロのオナカ。 て、つまりは、トロ? トロ? トロォォォォォォォ? kyotachan まとめてお買い上げー! お値段、赤身と同じ!
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ふう。 これはねえ、こうなりますのよ ・・・・・
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by kyotachan | 2007-05-27 03:39 | お い し い | Comments(2)

名まえを呼ぶ国


四月に三歳になった三女。 彼女がわたしに向かって言う。
『Maman? Toi, tu t'appelles kyotachan. (ママン? トワ テュ タペル kyotachan. =ママ? ママの名まえは kyotachan だよね。)』
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わたしは、わたしの母親の名前が 『おかあさん』 ではなく、『ヒデコ』 なのだと知った時、ものすごーく、驚いてしまった。 小学校二年生? 三年生? もうずいぶんと大きくなってからのこと。 えっ?! お母さんの名まえ、おかあさんじゃないの? と言って、周りを笑わせたのだ。 いやー、ほんとにね、びっくりしたのよー。 ヒ デ コ だなんてさー。
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それほど誰も、母親のことを彼女の名前で呼ぶ人がいなかった、ということなのだろう。 父親は自分の妻を 『おかあさん』 と呼んでいたし、普通には名字で呼ばれるでしょう? 子どもの友人たちには、『kyotachan のおかあさん』。 ね? 名まえで呼ばれること、とういか、呼ばれる必要、というか、ない、よね。 呼ばない、よね。 学校のまま同士でも、名字で呼び合う、ことが多いのでは? そういう文化、とでも言うのかな。
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ニースに来てから、うれしいのはね、名まえで呼ばれる、てことなの。 子どもの友人、てだから、三歳児から十歳くらいまで、いるじゃない? 『kyotachan! kyotachan! kyotachan! 』 て、みーんな、呼ぶもんねー。 なーんか、それが、気持ちがいいの。 『長女ちゃんのまま』 とか 『長男君のまま』 ではない、自分がいる、ていう感じで。
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そういえば、ニッポンで働いていた時、フランス人同士では、名まえで呼び合っていたなあ。 部下が上司を呼ぶ場合も、『Monsieur 〇〇 (ムッシュー 〇〇 = 〇〇さん)』 ではなく、名まえで呼んでいた。 日本風に言うと、呼び捨てで! 『ほっほ~』 くらいの驚きと、新鮮さがあった。 だってニッポンじゃ、ないでしょ。 社長をたとえば、『タロウッ!』 て呼ぶことは、まずありえない。
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三歳になった三女は、
『ひとりひとりには名まえがあって、ままの名まえは kyotachan なのだ』
ということを、確認しているみたいなの。 そして、自分のことも、忘れていない。 このセリフのあとに、必ずつづく、次のことば。

『Moi, c'est 〇〇! (モワ セ 〇〇 ! = わたし、わたしは 〇〇!)』

うふふ、それがさ、あかいーんだなあ。
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by kyotachan | 2007-05-24 20:32 | 六 人 家 族 | Comments(12)

はじめてのマカロン


食わず嫌いでした。 反省します。 認識あらたにいたします。 こんなにおいしいお菓子、久しぶりにいただきました。
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こーんなにかわいいお菓子を持って来てくれたのは ・・・・・
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by kyotachan | 2007-05-24 18:30 | お い し い | Comments(6)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族