f0136579_01312764.jpg

「きょうたちゃん、あんた、すぐにあやまってしまうけん、お父さんのしかりにくかーっていいよらしたよ」
母親にこう言われたのはわたしが中学生くらいの頃か。

何かにつけ、わたしがすぐにあやまってしまうから、父親がわたしのことを叱りにくい、
と父親が母親にぐちったらしい。

「え!なんね。じゃあ、あやまらんほうがよかとやろか」
わたしが言うと、
「母ちゃんはよかと思うけどね。すぐにあやまるほうが」。

というわけで、わたしは何かにつけてすぐにあやまる。
あやまる、という行為に対して抵抗がない。

あら、ごめんなさい。あ、どうもすみません。たいへんに申し訳ありません。
色んな場面で深く考えることをせず、ただただあやまってきた。

場所が日本からフランスに移ってもその習慣はずっと同じ。
わたしは簡単に「ごめんなさい、すみません」を口にしてしまう。

ただ、フランスに来てから気をつけていることはある。
まったくわたしのせいではない、という状況でひとりで興奮してそれがわたしのせいかのように罵声を飛ばすひとがいるのだ。
いわゆる、逆切れ?

これ、ことばがわからないうちは本当にやっかいだった。
あれ?わたし、何かしたわけ?とかん違いしてあやまってしまいたくなる。

だって、相手がなんでこんなに怒っているのか、わかんないもの!
習慣でつい、あやまってしまいたくなるの!

でもことばがわかってくると、あらまあ、なんなのこの人?
ひとりで興奮してひとりでどなってひとりで激昂してらっしゃるの?

なんだか知らないけど、わたしはにこやかにやり過ごすわよ。
しかし、ここまで怒りのエネルギーが爆発するってすごくね?
と冷静に相手を観察することになる。








フランス人日本人どちらにも、世の中にはわたしとは逆で、なかなかあやまらない人、という方もいらっしゃる。
わたしの友人にもいて「ったくもー、なんでひと言、あやまらんかなー」と思うことがまま、あった。

ただ、こういう人があやまるときには「お!あいつがあやまりよったぞ!」とひどく感激するのも事実。

思い返せばわたしの方は、何の考慮も哲学もはたまた信念のかけらもなく、
ただただ、そうしとけばよかっちゃろもん、の精神で簡単にあやまってきたなと思うことがある。

今になってみて、時々、自問してしまうのだ。
わたしはほんとうに、心からあやまっているのだろうか。
ただその場をとりつくろうための方便になっているのじゃないだろうか。









こんなことを考えているのはただいまフーフゲンカの真っ最中でして。
もう、簡単にあやまるのは、まっぴらだもんね、と思っているわけである。
わたしには謝罪する理由はないし、そんな気持ちはまったくわいてこないのだ。

いやあ、こんなときこそ、簡単にあやまっちゃうほうがいいんだよ~。
ココロの奥底から聞こえてくる声は今回はぜったいに聞こえないの!

















写真は五月後半のニースの海。
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

今のビーチはもっと混み混み……。








[PR]
# by kyotachan | 2017-07-25 01:54 | 喜 怒 哀 楽 | Comments(3)






f0136579_16475325.jpg


今年の一月に旅行サイト向けに書いた一文。

ニースの海を見ながら思う世界平和。

プロムナード・デ・ザングレ とは『イギリス人のお散歩道』という意味です。
かつてここはイギリスの貴族たちが好んで歩いた道だったらしいのです。

いまではここはニース市民たちがジョギングやウォーキングを楽しむ場所となりました。わたしはニースに住みはじめて、早十二年がたちましたが、今でもここへ来るとニースの海の美しさに感動します。ニースの海はほんとうに美しい。

7月14日、パリ祭のときに打ち上げられる花火の場所としても知られています。わたしたちはこの日の花火を毎年こころまちにしています。

2016年7月、この場所はテロの標的になってしまいました。わたしたちが受けた大きな悲しみ。なぜこんなことがわたしたちの身近なところで起こってしまったのだろうというやりどころのない怒り。それらは今もわたしたちを覆い続けています。

わたしは今回のテロ事件をきっかけに考えざるを得ませんでした。世界平和とは一体どこにあるのだろう?ということを。あまりにも使い古された感のある「世界平和」ということば。それはどこにあるのでしょうか。そしてそれを実現することはできるのでしょうか。

世界平和とは、どこか遠くのユートピアのような場所にあるわけではない。それは、わたしたちひとりひとりのこころの中にあるのだ。わたしは今、そう思っています。わたしたちの隣にいる人、その人のこころの中を平和にすること。これを世界中のひとりひとりが実現すれば、わたしたちの世界は平和になるに違いありません。

あなたは、車で出かけるときに「交通事故にあうかも知れないから出かけるのをやめておこう」と思いますか。わたしはこう思います。「交通事故にあうかもしれないから気をつけて出かけよう」。

テロに関することにも同じことを思います。「テロにあうかも知れないから出かけるのをやめておこう」ではなく「危険はどこにもであるのだからくれぐれも気をつけよう」と。

ニースの美しい海を、一度見に来ませんか。


















にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ



↓ 「危険情報」のところにあります。






[PR]
# by kyotachan | 2017-07-14 16:54 | 日 常 空 間 | Comments(8)

f0136579_21015234.jpg


長女が十九歳になる日の朝、開口一番「誕生日おめでとう」を言う。

前の晩はダンス教室の発表会。
終わったのが十一時過ぎで、そこからダンス教室の仲間に祝ってもらって
帰宅したのは朝の二時過ぎだという。

そして当日は朝の九時半から自動車教習所の運転教習が入っていて
起きたと思ったらもう出かけるというあわただしさ。

その日の夜の予定はあえて聞かなかった。

そりゃあ、ここのところ連日不在だけれど?
まさか自分の誕生日当日くらいは家にいるでしょう?
だって、生まれてからこのかた、毎年毎年、この日だけは家族一緒に過ごして来たんだもんね?
だよね?だよね?あえて確認なんてしなくても大丈夫だよね?

後から思えば、親の強いエゴが働いてたと思う。
わたしから聞けばよかったのだ。「今夜はウチなの?」ってひと言。

その日はあまりにも暑くて「ケーキは無理」と判断。
パン屋さんで見かけたまさにイチゴのショートケーキをホールで調達。
これで片方の肩の荷は下りた。

食事のほうは冷凍庫にある鮭と鮪でお刺し身。
アボガドもある。
セロリもあるからこれは炒めて副菜にしよう。

最近、刺し身を食べたいわたしが、ひんぱんに食卓に乗せているお刺し身だけど
長女は何度か食べ損ねているし、彼女の好物でもあるからこれで大丈夫。

夕方、居間でカードを書いていたら長女がボーイフレンドと帰宅。

「今日は(ウチでママたちは)何を食べるの」
と聞いてきたときから嫌な予感がふつふつと噴出してきた。

聞けば、レストランを予約してあって、友人たち十二名とお祝いをするのだと言う。
ぱちんとはじける、どこかで張っていた糸。

レストランを予約してあるなら、それは数日前からはっきりしていたことなのでしょう?
なんでひと言、ほんとうにひと言、言っておいてくれなかったかなあ!

こちらで言ってるそばで、長男は長男で「今日は友だちのところに泊まる」。

ぱちんとはじける、どこかで張っていた、もう一本の糸。










ひとり意地を張っていじける母親を前に
長女は「言うの、忘れてた。ごめんなさい」とあやまってくる。

忘れた?忘れるようなことなのこれって?
沸いたやかんのお湯はますます沸騰度を増して煙さえ立ってきた。

長男の方も「なによなによ、ウチで食べればいいんでしょ。食べてから行くから」
と言い出す。

なんだかもう、どうでもよくなった。

自分のこころの中をよーくのぞいてみれば、
よくもまあ、健全に健康にここまで育ってくださいました、
ほんとうにこころからお礼を申し上げます、どうもありがとう、という気持ちがあるのも事実。

しかし表面的にはすごい剣幕だったのだろう。
長女、長男、ともに「食べずにはおかれない」と判断したらしい。

その夜は長女のボーイフレンドを含めた七人で刺し身をつまんだ。
長男はお皿一杯分の鮪漬け丼を平らげてお役ごめんよろしく、風のように出かけた。

長女のボーイフレンドはおそらく気を使ってくれているのだろう、
おかわりまでして食べてくれた。

そして夜の九時頃にふたりで出かけて行った。

わたしの買ったケーキ、レストランに持ち込みで持っていきなさいよ、
というと、「それは明日みんなで食べよう」と言って頑固として持っていこうとしない。

翌日の夜、再び七人で囲んだ夕げのあと、みんなでケーキを食べた。
ほんとうに日本で食べるショート・ケーキらしいケーキだった。

長女が家にいる時間はもはや『家族サービス』。
十九歳の誕生日に母親が学んだこと。

ティーン最後の一年を思いきり楽しんでおくれ。

















にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ








[PR]
# by kyotachan | 2017-06-27 00:22 | 六 人 家 族 | Comments(10)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31