2018年 01月 10日
pluie プリュイ/ 雨
三女が生まれたとき、次女はまだ十六ヶ月で歩くことができなかった。
夫がダブルのベビーカーを買ってくれて、それを押してどこへでも行った。
後の椅子がベッドになる形だったからたいていは三女が後で次女が前。
思い返せばほんの三年間くらいのものだったのだろうがこのベビーカーは本当に重宝した。
当然のことだけれどベビーカーを押すときは傘がさせない。
わたしは雨にぬれるのが苦手だから防水加工のコートをしっかり着こんでフードもきちんとかぶる。
一度、次女と三女が幼稚園に通っているころ、大雨が降って、
わたしはコートの上にさらにポンチョ型のレインコートを羽織ってお迎えに行ったことがある。
幼稚園の先生たちになんとなく冷笑されたように感じた。
あらためておのれの姿を見てみると、いやほんとこれはやりすぎたかなと反省した。
雨にぬれるのが苦手だからしょうがない。
ひるがえってフランス人たちはおおむね、雨にぬれることに頓着しない人が多い。
かなりの雨でも傘を差していない人はごろごろ歩いている。
傘を買う余裕がなくて、という人ももちろんいるとは思うのだが、
傘をさすなんてばからしいと思っている人が多いような気がする。
ぬれたところで、それがなにか?
みなさん、そう思っていらっしゃるようようだ。
きれいにセットされた髪、きちんとお化粧した顔、
身なりも平均的な人よりもいいものをお召しになっている、
というマダムが雨にぬれて歩いている、という風景もめずらしくない。
フランスの幼稚園と小学校では傘が禁止されている。
小学校までは親の送り迎えが義務づけられているから、傘は門のところまで、ということになる。
課外授業の日に雨が降ると、児童たちは傘なしで出かけることになる。
子どもたちが小さいころ、この課外授業に付き添ったことが何度かある。
雨が降って、大人たちはみな当然のように傘をさすのだが、
子どもたちはみんな雨にぬれそぼりながら歩いた。
わたしは申し訳なくて胸が痛むほどだったのだが
子どもたちはみな、平気な顔をしていた。
こんな風にして雨にぬれることに慣れてしまうのかもね。
スーパーの袋、ていうか、引き出物をつつむ水玉模様の入ったビニール製のふろしきって今もあるのかしら。あんな風なビニールをかぶっているマダムが多いんですよ。でね、驚いたことにただのビニールをかぶっているわけじゃなくて、かぶるようにちゃんと帽子の形をしたものだったんです。スーパーの袋をかぶっている人、いますいますー。