cordonnier コードニエ/ 靴の修理やさん

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もういつどこで購入したのかも記憶にない小さな小銭入れ。

高校時代の友人、まみたに「これ、使いやすそう」と言われた記憶があるから
もしかしたら購入したのは高校時代、佐世保の玉屋なのかもしれない。

ベネトンのマークの付いたこの小銭要れ、形はほとんど正方形で、
ボタンをはずすとぱっかりと中身が見えるから、小銭が一望できてほんとうに使いやすい。

しばらくは子どもがおつかいに行くとき専用になっていて、
おつかいを頼むときにはこれにそれこそほんとうに小銭を入れて買い物を頼んでいた。

ここ数年は小銭がたまるとメインのお財布から取り出してはここへ移動させていた。
八百屋さんやパン屋さんではこの小銭入れだけで用が足りることが多い。

最近はパン屋さんにお支払いの器械が登場して、ここへ小銭を投入するときには茶色い小銭を数えもせずに投入することもある。
余分な小銭は戻って来るし、不足分をあとで足すこともある。

あるいはスーパーマーケットでもセルフサービスのレジがあって、
小銭をここで消費することもある。

いつの間にかなくてはならない小銭入れになっていた。

それが、いつの頃からか、ボタンがあまくなってしまい、閉まらなくなった。

わたしはこの小銭入れとメインのお財布と常備の頭痛薬の入った小物いれ三つを
巾着袋に入れて一緒に持ち歩いているのだが、小銭入れの小銭が巾着袋の中にこぼれてしまっていたりする。

ずいぶん長い間、がんばってくれたからなあ。

そこでお財布の売り場を見かけるたびに同じ形の小銭入れを探し始めたのだが
これがなんとしたことか、この使いやすい便利な形のコレがまったく見つからないのだ。

ほんとうのことを言えば一度だけ、真っ黒のはあった。
黒は持ち物にしろ着るものにしろ、わたしのもっとも避けたい色だから、即あきらめた。

そして cordonnier コードニエ/ 靴の修理やさん に聞いてみることを思いついた。

一軒目では「ウチではできない。これは retouche ルトゥーッシュ/ 仕立て直しの店 で聞いてみたら」
と言われた。

retouche ルトゥーッシュ/ 仕立て直しの店 はGパンの裾上げでたまにお世話になるのだけど、あそこでやってくれるとはとても思えない。
だめもとでついでのあったときに聞いてみた。

そして、なんとなく想像していた通り、「これは cordonnier コードニエ/ 靴の修理やさん でやってくれるよ」と言う。

「そこから来たんですよ……」と言うと、
「え、その角の?」と言う。
「そこのじゃないけど」
「じゃあ、その角のに行ってみて。やってくれるよ」

確信にあふれたことばにだめもとで行ってみた。

七十歳くらいのムッシューはヒールのある靴を修理中だった。
「これをやっつけてからすぐに取り掛かるから十五分くらはかかるよ。
待つ?買い物でもしてまた戻って来る?」

待つのは苦手なのだけど、その日は近所のアジアン食材店で買い物をして
リュックはパンパンにふくらんでいたし、ちょっと座って休憩したい気分でもあった。

「待ちます」。

そしてきっかり十五分後、小銭入れはあたらしいボタンに付け替えられた。
お勘定を聞き間違えて、十二ユーロを出そうとすると、

「二ユーロだよ、二ユーロ!それで充分!」

……感動。

Merci infiniment ! メルシーアンフィニモン/ どうもありがとうございます!
ていねいにお礼を言った。



















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Commented by cazorla at 2017-08-08 05:23
大事にしていたものが、また使える様になるって嬉しいよね。
で、靴の修理屋さん。
日本てさー、修理、高いでしょ?なんでも。傘なんて修理したらそのお金で新しくていいのが買える。
よくないねー。
カソルラの靴修理のおじいさんは、退職して、その辺をうろうろしていて、お気に入りの人のだけこっそり修理してくれる。
この間、夫のベルト、バックル部分が取れちゃって、それ修理してもらった。
40年近く前のもの。昔の製品は皮がいいから、修理して楽しかった、と言ってもらった。

きっときょうたちゃんのお財布も、修理して楽しかったんだろうね。
Commented by kyotachan at 2017-08-10 01:35
cazorla さん、
そうなの。使い捨て時代の先頭をいくわたしとしては、今回はものすごーく感動しちゃった。十二ユーロ請求されたと思ってしまったし。
わたしはバスケット専門だから革靴ってほとんど持っていないんだけど、やっぱりこちらは靴の国だから靴底を何度も張り替えてもらうみたい。そしてとっても安価らしいよ。
Commented by TAKU at 2017-08-11 23:57 x
素敵な出会いですね。
ダメ元で行って、やってもらえると感動が二倍になります。
私も過去に修理で、皮小物(カバン)や靴、時計(父の形見)などがあります。
消費が美徳になりつつある時代ですが、気に入っているものは使い続けたいですよね。
昭和なんですかねぇ。。
Commented by kyotachan at 2017-08-13 22:09
TAKU さん、
出会いの話といえば出会いの話なのかもしれないですねー。
ほんとうに、そう。ぱっちんの留め金の中の細い針金みたいなのが欠けてしまってわたしにもこんなの修理できるの?て気持ちがあったので。
消費が美徳。そうなんでしょうねえ。子どもたちなんて、ほーんとにモノをモノとも思っていないところがありますわ。
by kyotachan | 2017-08-07 20:44 | 日 常 空 間 | Comments(4)

南仏・ニース在住。フランス人夫・一男三女の六人家族
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